第162話 ページ33
「A…」
突然泣き出した私をどうしたらいいのか解らず、取り合えず私のそばに近寄るも戸惑いと心配の表情で見つめ続けることしかできないサクラ。タズナさんも少し離れたところからただただ見つめるだけだった。
「!」
そのときだった。突然近くの方から、地面から何かが這い出てくるような音が聞こえた。
「な…なんじゃあの音は」
『…ぁ』
駄目だ。
何故だか分からないけど、その音に反射的にそう思った。慌てて音のする方へと走り出す。
「!A!?」
しかしそんな私の行動に驚いたサクラが、咄嗟にガシッと私の腕を捕みそれを阻止する。
『やめてサクラ!離して!!』
「ちょっと!一回落ち着きなさいよ!アンタさっきからなんか変よ!?一体どうしたってのよ!」
『白が!白が死んじゃうんだよ!!だから早く離して!!』
「はぁ!?アンタなんで敵の味方してんのよ!!」
『うるさい!!』
「ッ!」
パンッ!
私がそう言った瞬間、辺りにそのような乾いた音が響いた。
それに続いて左頬にじんじんと痛みを感じた。驚きのあまり一瞬何が起こったのか理解ができなかったけど、その痛みで漸く自分が今どういった状況にあるのかがわかった。
「落ち着けって言ってんでしょ!?」
びっくりしてサクラのその声に顔を上げると、まず始めに何故か泣いているサクラの顔。それに続いて奥の方に私と同様、目を丸くして驚いているタズナさんの表情がみえた。
「何でアンタがソイツの事を心配してるのか分かんないけど、それよりも今はタズナさんの護衛が優先でしょ!?私だって…私だってサスケくんが心配よ!!でもッ!そんな簡単に私たちの任務を放棄しちゃいけないでしょ!?」
方針状態の私に対して、そう叫び切ったサクラ。その声は少し震えていて、私の腕を握る左手も少し震えているのが分かった。
でもそのお陰で少しだけ私も落ち着くことができた。
そうだ……皆誰かが心配で、それは決して私だけじゃないんだ……
なのに私は自分の任務すら放棄して、自分勝手な行動を……
『…ごめん』
私が素直にそういうと、漸く手を離してくれたサクラ。そしてその手で自分の涙をぬぐっていた。
丁度、霧が晴れてきた。
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アイ(プロフ) - 作品を読んで感動しました!作品を参考してよろしいですか?? (2020年11月20日 21時) (レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
色葉(プロフ) - トッシーさん» あっあっああああありがとうございますすすすす!!!滅茶苦茶嬉しいです!頑張ります!! (2017年11月20日 21時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
トッシー - さっさっさっささささ最高です!超応援してます!頑張ってください! (2017年11月20日 19時) (レス) id: 7be352b008 (このIDを非表示/違反報告)
色葉(プロフ) - nasoraさん» どわーっ!!?めちゃくちゃうれしいです!!本当にありがとうございますー!!(((o(*゚∀゚*)o))) (2017年11月12日 8時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
nasora - いつも楽しく見てます!とても面白いです!がんばってください!私もうこの話のファンになっちゃいましたw! (2017年11月11日 20時) (レス) id: e0ca1ca558 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:色葉 | 作成日時:2017年10月8日 13時