第159話 ページ30
『えっ？』
気がついたときには、既にその光景は私の目の前にゆっくりと映っていた。
必死の形相で、此方に向かって走って来るカカシさん。そしてその流れのまま、カカシさんは私を庇うようにして立っていた。
再不斬の剣がカカシさんに触れるまで、僅か数10センチ。
…もしこのままいくとどうなるんだろう？再不斬の剣がカカシさんに当たって、それでカカシさんは切られて……
私のせいで、カカシさんが死ぬの？
そんなことを考えている間にも、少しずつ再不斬の刀とカカシさんとの距離は縮まっていく。本当に、ゆっくりと。その光景が私の目にしっかりと移っていた。
その時ふと、何時しかの記憶が蘇ってきた。
"これからお前に教える術だが…ぶっちゃけお前にとっちゃあレベルが高すぎる。正直、何ヵ月やっても出来ないかもな"
…そうだ。これは確か私が、何ヵ月やってもできないって言われた術。そして未だにできていない術。
"だが、扱うことが出来ればとても役に立つ忍術だ。それに今から教える術はお前にはぴったりだと思うがな、俺は"
あなたが私にぴったりだといって、初めて教えてくれた凄い術。
"ははっ、何も水のなかに入った訳じゃないよ。簡単に言うとあれは水で壁を作ってんの"
水で、壁を作る術。
"うまく扱えるようになれば強度や耐久時間なんかも操ることができる。自分の身や、仲間を守る防御に適した術だ"
…そう言われて、何度も何度も練習した術。あなたが私に教えてくれた、大切な仲間を守る術。
その術の印は確か、名前は…確か……
私のせいで、カカシさんが死ぬ。
…そんなの、絶体に嫌だ！！！
『…水遁・水陣壁ッ！！』
「！！」
「何っ！？」
私がそう唱えた瞬間、一気に大量の水が私とカカシさんを包み込む。あっという間に水だけでできたそれは、ほんとに僅かな時間だったけれどなんだかとても綺麗に見えて、それでいてとても幻想的だった。
体力と技術的に水陣壁が解ける頃を見計い、私はスッと立ち上がって、直ぐ様体制を建て直す。前を向くと、カカシさんが驚いた様子で此方を見ていた。
「Aお前…その術…！」
『…大切な人を守る術、なんですよね』
私がそう言ってのけると、カカシさんは一瞬眼を見開くと、今度は眼を伏せフッと笑って、
「ああ…そうだったな」
確信したかのようにそう言って私と同様、スッと戦闘体制を建て直した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 343人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アイ(プロフ) - 作品を読んで感動しました！作品を参考してよろしいですか？？ (2020年11月20日 21時) (
レス) id: 7b57897ee4 (このIDを非表示/違反報告)
色葉(プロフ) - トッシーさん» あっあっああああありがとうございますすすすす！！！滅茶苦茶嬉しいです！頑張ります！！ (2017年11月20日 21時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
トッシー - さっさっさっささささ最高です！超応援してます！頑張ってください！ (2017年11月20日 19時) (レス) id: 7be352b008 (このIDを非表示/違反報告)
色葉(プロフ) - nasoraさん» どわーっ！！？めちゃくちゃうれしいです！！本当にありがとうございますー！！(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o))) (2017年11月12日 8時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
nasora - いつも楽しく見てます！とても面白いです！がんばってください！私もうこの話のファンになっちゃいましたw！ (2017年11月11日 20時) (レス) id: e0ca1ca558 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：色葉 | 作成日時：2017年10月8日 13時
