第511話 ページ22
「.......」
サクラに沢山のことを話されて、改めてあの人のことを思い浮かべる。
いつだってやる気がなさそうで、適当そうに見えるけど。
本当は誰よりも仲間思いで、そのせいで罪を背負い込む癖もあって。
気がついたらどこか生き急いでいて、それを笑顔の裏に隠してて。無理をすることなんてざらにあって。
しょーもない嘘ついたり、意地悪なとこだってある。たまに訳わかんないことだって言うし。そのくせ都合が悪くなったら冗談で自分の罪を押し付けようとする。
.....でも.....それでも普段は優しくて暖かくて、いつだって相手の気持ちを思いやってて.....すごく、カッコイイ人。
思い返せば、私の中で一番に思い浮かぶ彼の表情は、いつだって笑顔だった。
ムカつくことだってあるけれど、何よもそんなくだらないことをしている時間が.....楽しくて楽しくて.....大好きだった。
.......ああ.....そうか.......。
「サクラ.....」
「うん」
「.....私.......
カカシさんのこと.....好きだ」
「.....遅すぎよ、バカ」
再び泣き出した私の頭を、サクラは優しく撫でてくれた。
「ちゃんと仲直りできるかな...」
「できるわよ」
「もしかしたら許してくれないかもしれない...」
「アンタなら許してくれるに決まってるでしょ」
「サクラ.....」
「何?」
「.....ありがとう」
「.....ええ」
でも、結局その日はカカシさんは仕事が山積みだったのを思い出したのと、一度気持ちを落ちつけたいという理由で謝りには行けなかった。
.....嘘だ。本当は謝りに行く勇気がなかった。今まであまりこういう場面に直面したことがない私は酷く意気地無しだった。
「.......」
その日の夕方、うちに帰った私は腫れた目をほっぽいて、一人ベットで蹲っていた。
.....明日...明日はちゃんと謝りに行こう。
.....でもなんて謝ったらいいんだろう.....カカシさん許してくれるかな.....。
.....今思えば今回の喧嘩十割私が悪かったなぁ.....あの時ちゃんと意地はらずに言えばよかったんだ。
なのに私ってば.....なんであんなにムキになっちゃったんだろ.....最低じゃん.....。
「.......」
ヒリヒリする目を瞬きしながら反省し続ける私。
しかし何を思ったのか、謝りに行く気なんてなかったはずなのに.....気がつくと私はいてもたっても居られなくなって、ひとまず外に出かけて行った。
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千 - 続き嬉しいです!カカシ先生尊い…。 (2020年5月26日 8時) (レス) id: 1380412b8e (このIDを非表示/違反報告)
透羽-とわ-(プロフ) - ここまでイッキ読みしてしまいました〜!カカシ先生が尊い!!これからも更新頑張ってください!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 71f7d12171 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - BORUTOのコクリと夢主が付き合ってる設定の小説も書いて欲しいです (2020年5月24日 20時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続きがとても気になります!!!カカシ先生大好きなのでこのお話大好きです。更新頑張ってください (2020年5月24日 1時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:色葉 | 作成日時:2020年5月24日 0時