第503話 ページ14
「ズルした!」
「してないよー」
「嘘!あの時わざと私のこと小突いたでしょ!!」
「えー?知らないなぁ」
りんご飴を片手にスタスタと前を歩くカカシさん。
.....そう、先程の勝負の最中、この人はわざと私の邪魔をしてきたのだ。
奴の肘が私の肩にぶつかったおかげで、バランスを崩した私のポイは見事にざぶんっと水の中に全て浸かってしまった。
せっかく少しずつ使っていた紙は綺麗に破けてしまい、ボールを救えなくなった私は完敗。カカシさんのボウルの中には大量のボールが入っていた。
そんな光景を思い出し、再び目の前を歩く奴の背中を睨みつけた。
あっという間に人気のない高台まで歩いてきた私達。気がつくと目の前には綺麗な夜景が広がっていた。
「.....わあ」
「こりゃ絶景だな」
輪廻祭のイルミネーションがキラキラと色んな色に光り輝いている。いつもの木ノ葉の夜景も綺麗だけど、こんなのもアリだなぁと思った。
「A」
「?」
「はいこれ」
そんな夜景に感動していると、不意に名前を呼ばれた。彼の方へと顔を向けると、その手にはいつぞやのようにまたしても綺麗にラッピングされた小包が、私に向けて差し出されていた。
「.....え?」
「あげる」
「いやあげるじゃなくて...なんですか?これ」
「今日輪廻祭だから。あとこんな日まで仕事付き合わせちゃったお詫び」
「...いいんですか?」
「うん」
マジか.....まさかこの人からプレゼントを貰えるなんて思いもしなかった。心の底から喜びつつ驚きつつ、おずおずとそのプレゼントを受け取った。
「.....なんかこの間から貰ってばかりで申し訳なくなりますね...」
「開けていーよ」
「.....あっ...えっとその前にですね.....」
「?」
そう言って一旦開封するのを止める。その隙に私は自分のカバンの中から、同じ大きさくらいのラッピングされた箱を取り出した。
「えっと...その.....実は私からも渡したい物があって.....輪廻祭のプレゼントって言うか、日頃のお礼って言うか.....」
そう言いながら少し震える手でプレゼントを差し出す。それがなんだか小っ恥ずかしくて、顔がじわじわ熱くなった。
「.....いいのか?」
「!勿論です!」
受け取ってくれるだろうか?そんな不安を少し抱えたまま、彼の顔を見る。
「.....ありがとう」
「.....!」
そう言って今まで見たことも無いくらい、優しい顔で笑ったカカシさんは、静かに私のプレゼントを受け取ってくれた。
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千 - 続き嬉しいです!カカシ先生尊い…。 (2020年5月26日 8時) (レス) id: 1380412b8e (このIDを非表示/違反報告)
透羽-とわ-(プロフ) - ここまでイッキ読みしてしまいました〜!カカシ先生が尊い!!これからも更新頑張ってください!! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 71f7d12171 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - BORUTOのコクリと夢主が付き合ってる設定の小説も書いて欲しいです (2020年5月24日 20時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続編おめでとうございます!!続きがとても気になります!!!カカシ先生大好きなのでこのお話大好きです。更新頑張ってください (2020年5月24日 1時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:色葉 | 作成日時:2020年5月24日 0時