その1 ページ1
甲高い鳥達の囀り。徐々にはっきりと聞こえてくるそれに、私は目を覚ました。
ぼんやりと意識が戻ってくる…どうやら朝がやって来たようだ。しかしまだ目は開けない。
なぜならば、このまま私は綺麗に二度寝をかましてやろうと思っているからだ。せっかくの夏休み、最低でも10時までは寝てやらないと勿体ないではないか。
……にしてもなんか変な夢見てたような気がする…確かカカシが出てきた様な……ふふ…なにそれ幸せかよ……
…てか今何時？めんどくさいけどスマホスマホ……
そう思い、目を瞑ったまま手探りでいつも身近に置いてある筈の携帯電話を探す。しかしいくら定位置を探しても何故か奴は見つからなかった。
……？おかしいな…いつもちゃんと枕元に置いてあるのに……しゃーない、めんどくさいけど目開けるか……
そう思い、仕方がなしに未だ重たい瞼をゆっくりと開ける。
『………？』
しかし目の前に広がるは、見たこともないような誰かの部屋。
…あれ？……私の部屋ってこんなだったっけ……？
まだ寝起きのせいできちんと動いていない頭で何とか目の前の状況を考えようとするが、案の定それも上手くはいかない。
でもまぁただ寝ぼけているだけだろうと呑気にも目の前の光景を軽く片付け、やっぱもう一眠りしようと思い、再び目を閉じ……
……いや待て、確実に何かおかしくない！？
ことを片付け数秒後、漸く自分の意識がはっきりとしたのだった。
『はぁ！？』
先程見たあり得ない光景が頭の中で思い起こされ、勢いよくガバッと起きあがる。すると目の前に広がるのは、確かに先程私が寝ぼけながら見た風景だった。
ゆ、夢じゃない…だと！？
「あ、起きた？おはよー」
『ファッ！！？』
かと思ったのも束の間、あり得ないことになんと突然奥から我が愛しの嫁、はたけカカシが現れたではないか！！
一瞬訳がわからず頭が混乱するが、その瞬間に昨日起こった出来事が一気に脳裏に思い返された。
……そうだ思い出した…あれは夢なんかじゃない……！
『えっ！？あっそっか！そういや私昨日……』
この世界に、トリップしてきたんだっけ……
「…何、もしかして忘れてたの？」
『え、あ、いやぁその…てっきり夢か何かかと……』
「そりゃ残念だったな。哀しいことに、これは現実だ」
か、哀しいことに…ねぇ……
*
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作者名：色葉 | 作成日時：2017年10月2日 0時
