【斉木楠雄のΨ難】僕の幼馴染はマトモ…なはずだ。 (ページ35)

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34話ページ35

斉木楠雄side

Aさんがメイクし始め、数十分。

『楠雄くん！』

後ろから声が聞こえ、振り向くと赤髪のツインテールをした見た目がキツそうな女が立っていた。

『私だよ私！』
楠雄《知ってる。随分と変わったな。》
『でしょ〜！メイクってすごいよね〜！』
楠雄《そうだな。》

この女の正体はAさんだ。
Aさんの役は、連続殺人事件の犯人の東雲愛という、かなり狂った役だった。

『初めてじゃないにしても初心者にこの役はとても難しいと思うんだけどなぁ…私できるかなぁ…』
楠雄《初めてじゃない？》
『小さい時に少しね。父さんがやってた役の子ども役で、ほんのちょっと。パパーって言うだけだったけど。』
楠雄《それカウントするか？》
『うるさいなぁ〜！』

僕の頬をムニムニしながらそう言うAさん。
にしても本当にAさんには見えないな。
話してなかったらきっとわからなかった。

｢えぇ！？被害者役の加藤さんがロケで骨折！？ドラマに出れないってそんな！！｣
『……？どうしたのかな…？』

トラブルか？

｢被害者役の加藤さんが骨折して来れないらしいです！｣
｢今から代わりを探すなんて無理だぞ！｣
｢代わり……ハッ！！｣

待て、嫌な予感がする。

｢君！！頼む代わりに出てくれないか！！｣

マジデスカ……

ーーーーーーーーーー

監督｢安心して！最初からしんでる役だから喋ったりしないから！ただ目を閉じて動かないようにしてもらえればいいから！｣

血糊だらけの衣装に着替えさせられ、顔にも血糊を付けられた。

監督｢フード被ってもらってメガネは外して！｣

メガネを…外すだと？

『監督すみません。この子視力すごく悪くて眼鏡無いと何も見えないんで、位置着いたら外すってことにしてくれませんか？』
監督｢そうなのか！わかった！じゃあ撮影始まる前に回収させてもらうよ！｣
『ありがとうございます〜！』

Aさん…！
やはりいつも助けられてばかりだな…

監督｢あ、そうだ！台本これね！｣
『？』
監督｢台詞は変わらないんだけど動きが少し変わる予定があってね〜、急で申し訳ない！｣
『大丈夫ですけど…』

本当に急だな。
まぁ僕は死体役だ。動く事は無い。
Aさんは監督から台本をもらった。

監督｢｣

カップルじゃないからな。