【斉木楠雄のΨ難】僕の幼馴染はマトモ…なはずだ。 (ページ27)

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26話ページ27

斉木楠雄side

僕はAさんの口と手を解放する。

『楠雄くんありがとう…ありがとうなんだけどこっち見ないでくれると嬉しい…』

Aさんは胸元を押さえ、顔を真っ赤にしてそう言った。
全く……
僕は自分のセーターを脱ぎ、Aさんに被せる。

楠雄《こうすれば問題ないだろ。》
『…うん、ありがとう。あとごめんなさい。本当に。』
楠雄《君が悪くないのは知ってる。》
『ごめんね、着替えてくるね。』
楠雄《はいはい。》

Aさんが立ち上がるとボトッと何か箱が落ちた。

『？何これ……っ！！！』

Aさんはそれを見て何かを理解し顔を真っ赤にさせた。
まったくあの人達は…

『…はは、ははは、サンタが何で赤い服を着てるのかわかったよ…返り血が目立たないからだ……』

どっかで聞いたことあるセリフだな。
僕は止めないぞ。
Aさんがああなったら僕でも止めることは難しいからな。

『顔じゃなければバレないよね！』

そう言ってAさんは部屋を出ていった。
健人さん、梨子さん、アーメン。
しばらくして主に健人さんの悲鳴が聞こえた。

『ただいま！』

めちゃめちゃ笑顔でサンタコスから着替えたAさんが戻ってきた。
しかし顔には返り血がついている。
ああ、健人さんしんだな。

『はぁ…父さんと母さんのせいで忘れるところだったよ…はい！楠雄くん！クリスマスプレゼント！』
楠雄《……は？》

Aさんはそう言って1つの箱を僕に渡した。
これは……！！

楠雄《あの人気店の激レア数量限定のコーヒーゼリーじゃないか！！》
『ふふ、楠雄くんの為に頑張ったんだよ〜！でも透視じゃなくて箱を開けてから言って欲しかったなぁ〜！ま、いっか！』

普段の僕なら既に目の前のコーヒーゼリーに夢中だが、今の僕はAさんへのクリスマスプレゼントを用意していない事が頭によぎった。

『…どうかした？嬉しくなかった…？』
楠雄《いや違う。僕はAさんに何も用意してなかったからどうしようかと…》
『！ふふっ、気にしなくていいよ〜。私は楠雄くんが美味しそうにコーヒーゼリー食べててくれればそれがプレゼントになるから！』

Aさんはそう言って僕の頭を撫でる。
…それじゃあ僕が納得いかないのだが…
まぁいいか。後日何かプレゼントする事にしよう。
僕はコーヒーゼリーを食べる。

『楠雄くん美味しい〜？』

ああ、最高に美味しい。
ありがとう、Aさん。