第117話 ページ34
*
え、まってヤバイわ。真面目な方でマジでこれはやばい。
だってもし仮に話をちゃんと覚えられていれば、これから起こる事が分かるから自分が次にどう行動すればいいのかとか、どうすれば誰かを助けられるとかサポートできるとか分かるから、原作をできる限り壊すことなく生活できるはずだ。
でもそれが出来ない今では次の行動の予測すら出来ない為、その全ての行動が阻まれてしまう。
確かにこのままいっそ思いきって全て忘れちゃった方がこの世界には馴染めていいのかもしれない。だが勿論この世界の人間でない時点で、私にはそんな馴れ初めのことをする資格など微塵もない。
…そう思うと一気に不安になった。
それと共に後になって夜に考え込んでしまったことを後悔した。どうしよう、どうしようとなんとも言えない焦燥感と恐怖がどんどん増していく。
遂に怖さに耐えられなくなり、閉じていた目をパッと開ける。しかし私の目に写るのは暗闇ばかり。それが当たり前なのだが、今の私の心に追い討ちを掛けるにはそれは十分過ぎた。
するとそれのせいもあってか更に恐怖心が増した。なにか少しでも安心できるものが欲しくてバッと左隣を見ると、すぐ目の前にサクラの頭と今すぐにでも当たってしまいそうなほどの距離にサクラの肩があった。
それを見ると少しほっとした。でもその瞬間に彼女の温もりが欲しくて欲しくて堪らなくなってしまった。
…どうしよう、今すぐ誰かに触れたい、安心したい…でも、やっぱ迷惑だよね……
……そこで、今日サクラが私に伝えてくれたとあることを思い出した。
そしてその記憶が、自然と私の次の行動へと背中を押したのだった。
『……サクラぁ…』
…気がつけば自然と私の口から出ていたその弱々しく、今にも消えてしまいそうな声に自分でもビックリした。案の定、サクラも驚いたようでバッと此方に顔を向ける。
一方で私は情けないことに、彼女の名前を呟くだけで泣いてしまいそうになった。
「…！？ちょっとA！？どうしたのよ！？」
するとサクラが小声でそう尋ねてきてくれた。耳を済ますと、既に他の三人のすやすやとした寝息を聞くことができたためであろう。
『…ごめん、その、何て言うか……
手、繋いでも良い……？』
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 413人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
色葉(プロフ) - 星月夜*ミルトニア[3DS]さん» 本当ですか！？ありがとうございます！！更新頑張ります♪ (2017年9月24日 0時) (
レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
星月夜*ミルトニア[3DS] - イラストのクオリティヤバイ………また見てみたいです！更新頑張ってください！ (2017年9月23日 22時) (レス) id: 4d66220430 (このIDを非表示/違反報告)
色葉 - 輝夜さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！楽しんで頂けているようで何よりです♪頑張ります！ (2017年9月21日 6時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - 面白くていつも更新ワクワクしながら待ってます！これからも頑張ってください！！ (2017年9月20日 18時) (レス) id: 88c1b11d8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：色葉 | 作成日時：2017年9月13日 6時
