第92話 ページ3
*
"大丈夫"
そう言っていつも通りにこっと笑ったカカシさん。
このどこか安心する暖かくて大きな手に、いつもの優しい笑顔。そしてカカシさんが言うからこその「大丈夫」という、私の心の不安を全て消し去ってくれる、本当に不思議な魔法の言葉……
……そのおかげなのだろう、気がつくとついさっきまで私が胸一杯に感じていた焦燥感や恐怖心なんてのが、一気に全部何処かに吹っ飛んでしまっていた。
そしてまたしても根拠も何もないのに、「ああ、大丈夫なんだ。きっと何とかなるんだ」と何時かのあの頃のように、そう心の底から思えてしまったのだった。
突然の感情に入れ替わりにより少しぼーっとする頭で、相変わらず笑顔のままのカカシさんを見つめる。
…この人、本当にすごいなぁ。この人には、きっと何か不思議な力があるんだろう。
……きっと私は、一生この人には敵わないんだろうな……
ふと、何故だかそんなことを思った。
気がつくと私は、先程のカカシさんの言葉に素直に相槌を打ってしまっていた。
『……はい』
「よし!じゃあいくぞ」
そうすると、未だに少し呆然としている私を呼び覚ますようなその掛け声と共に、波の国に向かって再び私達は歩き出したのだった。
その時の私の表情には、もう何の迷いもなかった。
「……あの、A」
そのままどこかスッキリとした心持で気を取り直して歩いていると、不意にサクラが声を掛けてきた。
『?どうしたの?』
「いや、あの…そのーなんていうか……」
『?』
「そのっ何かあったらいつでも私に言って!」
『!』
そう叫び、私の目をまっすぐに見つめるサクラ。
そんな中当の私は突然サクラがそんなことを言い出すものだから、驚きのあまり目を丸くしながらキョトンとしていた。
サクラは続ける。
「いやあのっ私、カカシ先生みたいにうまく励ましたりなんて出来ないし、相談乗ったりするのも上手くないけど……
でも、私達女同士なんだし!だから、その……とにかく!なにかあったら私を頼って!…くれてもいいんだからね!」
そう言って顔を真っ赤にしながらふんっとどや顔をかましたサクラ。
そんなサクラを未だにポカンとしたまま見つめる私。
…その時の私の素直な心情が以下のものであると言うことを、今この場に記そうと思う。
それがこちらだ。
……あ、あの…あのサクラが……
あのサクラがサスケ以外の私に気を配っているだと!!?
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色葉(プロフ) - 星月夜*ミルトニア[3DS]さん» 本当ですか!?ありがとうございます!!更新頑張ります♪ (2017年9月24日 0時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
星月夜*ミルトニア[3DS] - イラストのクオリティヤバイ………また見てみたいです!更新頑張ってください! (2017年9月23日 22時) (レス) id: 4d66220430 (このIDを非表示/違反報告)
色葉 - 輝夜さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!楽しんで頂けているようで何よりです♪頑張ります! (2017年9月21日 6時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜(プロフ) - 面白くていつも更新ワクワクしながら待ってます!これからも頑張ってください!! (2017年9月20日 18時) (レス) id: 88c1b11d8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:色葉 | 作成日時:2017年9月13日 6時