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◆*◆ ページ37

そんな俺を見て、流唯さんは優しく微笑むと、細くて白い手で、俺の頭を撫でた。

「……多分もう、完全に治ることはないと思う。これからもこんな毎日が続くだろうから」

優しく優しく撫でる流唯さんの手は、僅かに震えていた。

「ねぇ、羽柴」
「……」
「俺、今日お前が店に一日中居てくれたの、嬉しかった」

ポツリ、ポツリと言葉を発す流唯さん。

「昨日、言ったじゃん、もう二度と話しかけないでって」
「……」

……あんなぼろぼろの状態、ほっとけるわけないだろ……

「でも、今日は言えなかった……喜んじゃダメだと思ったのに、お前の言葉、一つ一つが、嬉しくてさ……このまま、もう話せないなんて嫌だった」
「……」

喜べばいいじゃん、もう話せないってなんなんだよ。

「本当は、今日もっとちゃんと、言わなきゃいけなかったんだよ。早く帰れって。お前、良い奴だから。深夜の面倒そうなごたごたに首突っ込んじゃうような、お人好しだから。でも、言えなかった。俺、お前なら守ってくれるって、思っちゃったんだ……」
「……」

……そうするはずだったのに、守れなくてごめん。

「なぁ、あいつに酷いことされなかった?」
「……」

ちょっと突き飛ばされただけだよ。アンタの傷に比べりゃこんなんなんとも……

「ごめんね……」
「……」

なんでアンタが謝るんだよ、流唯さんは、悪くないだろ……?

「……羽柴。もう来ないで。俺と関わんないほうがいい。この店にも来ないほうがいい。あいつは何するかわからない。お前が傷つくのは、嫌なんだよ」「……」

……

「お前と話すの楽しかった。じゃあね、バイバイ。今度こそ、本当に、本当に……」

……

俺は、言いたかったこと何一つ言えないまま、ただただ流唯さんを抱きしめた。壊れ物を扱うように、優しく、優しく。

なんでそうしたかわからない。けど、こうしないと、本当にさよならな気がしてならなくて。

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彩鳥ねお(プロフ) - ユメさん» コメントありがとうございます!m(_ _)m すごく嬉しいです、これからも面白い展開になるよう頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*) (2020年7月17日 16時) (レス) id: ec189ad90f (このIDを非表示/違反報告)
彩鳥ねお(プロフ) - 七海さん» 2度目のコメントありがとうございます、励みになりますm(_ _)m なんと!笑 すごい偶然ですね!! (2020年7月17日 16時) (レス) id: ec189ad90f (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - おもしれぇ…いや、おもしれぇ…面白いです。これ好きです (2020年7月17日 5時) (レス) id: e02f1d7237 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - 全く関係ないけど、「るーちゃん」って呼び方が私の推しを呼ぶときと一緒だ!ついでに、私の好きな人を呼ぶときもるーちゃんwww (2020年7月6日 23時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩鳥ねお(プロフ) - 某ウイルスさん» ありがとうございます!!すごく嬉しいです……m(_ _)m (2020年6月27日 19時) (レス) id: ec189ad90f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彩鳥ねお | 作成日時:2020年5月15日 21時

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