傷だらけのマスク男子【BLオリジナル】

◆マスク男◆ ページ12

「クソ、しまった……」

余計なこと考える間に逃げられた……

あいつら、マスク男の兄の代わりに弟の方を殴っとけとかどんだけ性格歪んでんだ……腹立つ……

「……俺なんかほっときゃよかったのに」

イライラしてる俺を他所に、淡々と独り言のようにマスク男は呟く。

呟いたマスク男を見ると、マスク男はどこか遠くを見ていて、少々上の空、といった感じだった。

……俺はそんなマスク男のマスクを剥ぎ取る。

その瞬間、さっきの俺の疑問は一つ解決し、やっぱり正解だったことがわかった。

案の定、顔は傷と痣だらけで、あちこちに絆創膏が貼られている。

でも、パーツは一つ一つ整っていて、傷が入っていても綺麗な顔だった。でも、できたての痣や古い傷は、すごく痛々しい。

「……こんなボロボロのやつ、ほっとけるかよ」
「馬鹿、アンタ何して……！」

慌てて自分の口元を手で覆う、俺にマスクを外されたマスク男。

俺の手からマスクを取り返そうとマスク男は手を伸ばす。

けど、俺は取られないようにマスクを上へ下へと動かす。俺が動かせば動かすほど、必死に取り返そうとするマスク男が、猫みたいで面白い。

しばらくして、マスク男は諦めたように大きな溜息をつき、鼻でフッと笑った。

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