《拾》 ページ12
Aside
『んうぅ......。』
眩しい...
ゆっくりと、眼を慣らすように眼を開ける。
外では心地のいい高音で雀が鳴く。やわらかい陽光が周りを包む。
...ここどこ?
そうだ、私は彩祈さんの屋敷に来ていた。
ここまで運んでくれたのかな。お礼を言わなきゃ。
ガラッ
彩「あ、起きた?おはよう、A。朝餉だから、顔を洗っていらっしゃい。」
『はい!あの、先程は運んでもらってすみません、ありがとうございます!』
彩「いいのよ、いいのよ。逆に軽すぎだから、いっぱい食べて力をつけるのよ!」
『はい!』
朝っぱらから似つかない、大声で返事する。
彩祈さんも私の声量にちょっと引いてるがまぁ、良いだろう。
彩祈さんが部屋から出ていったのを見計らって、私は顔を洗いにいった。
...
部屋に行くと、彩祈さんが待っていたので、座って朝餉を食べた。
もぐもぐと食べていると、
彩「ねぇ、A。食べ終わったら、早速修行するわよ。ふふっ、覚悟しといてね?」
『え、はい!』
彩祈さんが怪しい笑みでそう言う。覚悟するほどきついのか?ちょっと不安だが、楽しみだ。
朝餉を食べ終わり、彩祈さんに貸してもらった袴を着る。この袴は、見た目以上に動きやすいらしい。
外へ出ると彩祈さんが木刀で素振りをしていた。ものすごい勢いだ。速すぎてあまり見えない。私も、こうなれるかな。
彩「A、来たわね。早速内容だけど、まず、昨日登った山を登り降りしてもらって、その後に軽い運動をしてもらいます!今日はそれだけよ!」
それだけって...いやいや、これ、1日で終わるのか...?
彩「私は山は一刻(2時間)で登れたわねー。 きっと、Aならできるはず!」
なんか、地味に煽られたような。とても美しい笑顔で言われた。ちょっと、頑張ろ。いや、めちゃくちゃ頑張ろ。
彩「さぁ、いってらっしゃい!私は木から見てるわね」
その声と共に私は屋敷に背を向け、二回目の山へと駆け出した。
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作者名:はもち x他1人 | 作成日時:2019年12月20日 20時