色 付 く 世 界 で。【煉獄杏寿郎】

三十五 ページ35

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翌朝、










『 えｯ……… 』





眩しい太陽の光で目が醒め、ゆっくりと瞼を開けた.










いつもと、違う風景が飛び込んできた.



いつも見る自分の家の天井は同じもの.





けれど、違う点がひとつ＿＿＿＿










白黒の視界ではなく、










見たこともない、‘ 色 ’ が付いていた.















途端に上がる心拍数.










ゆっくり身体を起こし、部屋を見渡す.










これまで、白が黒、もしくは灰色しか見えなかった自室が





＿＿＿＿鮮やかに色付いていた.










ああ、夢でも見ているのかもしれない、

そう思って頬を抓るも傷みが広がるばかり.





『 夢……じゃない……… 』










布団の脇にある机の上に置いた簪に手を伸ばす.










『 これが……青色 』





その色は綺麗をとおり越していて、うまく言葉に出来ない.















きっと、この世界に色が付いたら

ものすごく あっと驚くのだろうと思っていた.





でも、それは違くて


突然のことに驚いたが










あまりにも綺麗すぎて、言葉に出来なくて





ただただ、頬に涙が伝っていた.





.










昨日、目の奥が一瞬だけ熱くなったのはもしかして＿＿＿＿










まるで、杏寿郎さんとの口付けが魔法を溶かしたかの様＿＿＿＿










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ゆっくりと、外へ出る.





『 ……ｯ!! 』





まるで別世界に来たかのような衝撃だった.










世界はこんなにも綺麗だったなんて＿＿＿＿










その綺麗さに耐えきれず、またひとり涙を流していた.










ふと、杏寿郎さんの姿が浮かんだ.





＿＿＿＿早く…、早く杏寿郎さんに知らせたいｯ



＿＿＿＿彼と‘ 色付いた世界 ’が見たい.





＿＿＿＿早く、会えないかな










見上げた空は、雲ひとつなく、澄み渡っていた.





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