三十四 ページ34
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『 …! きょ、寿郎さんッ!? 』
驚きと戸惑いが混じった声が下から聞こえる.
「 A…. 」
腕の力を少しだけ込める.
『 あのッ…!? 』
見上げたAの頬にそっと手を添える.
ぴくりと小さく反応するA.
「 …! 」
艶っぽく、潤んだ青色の瞳が俺を映している.
視線が交わり、どちらからともなく逸らすことはなかった.
互いの間に言葉などいらなかった.
まるで、そうすることが分かっていたかのように
引かれ合うように、
静かに口付けを交わしていた.
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それから
他愛ない話しをしていれば、夕刻時になっていた.
「 実は、明日から任務に行くことになったんだ.
もしかしたら暫く文を送ることが出来ないかもしれない. 」
『 そうなんですね…、分かりました.
ご武運をお祈りしています. 』
「 あぁ、ありがとう. 必ずここへ戻ってくる! 」
『 はい! 私も、お待ちしております. 』
互いに手を振り、それぞれの帰路につき始めた.
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『 ……ッ 』
杏寿郎さんと別れたあと、未だに残った唇の感覚に顔が熱くなっていた.
あの場面を思い出した瞬間だった、
焼けるように目の奥が一瞬だけ熱くなった.
それに驚き歩く足を止めた.
『 ッ……今のは…… 』
一瞬にしてその症状は消えた.
寝不足だからかな、
なんて思いながら再び歩き始めた.
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雫(プロフ) - 感動して泣いてしまいました。とても素敵な作品ですね!!これからも応援しています。 (2019年11月17日 16時) (レス) id: b93c2cbed7 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世 - ハッピーエンドルートを書いて頂きありがとうございます!煉獄さんと主人公が再会して両想いになれたので、嬉しかったし、主人公が色付いている世界を見れて本当に良かったなぁと思います。二人とも幸せになって〜! (2019年11月15日 8時) (レス) id: 66e3f3e997 (このIDを非表示/違反報告)
れこ - 素敵なお話ありがとうございます(ノ_<)もっと煉獄さん読みたいです! (2019年11月15日 4時) (レス) id: f06b0667e0 (このIDを非表示/違反報告)
忠 - コメントしてませんでしたがひっそりと毎日楽しませてもらっていました!素敵な作品をありがとうございました!! (2019年11月11日 13時) (レス) id: ef6d2c5f91 (このIDを非表示/違反報告)
パンな(プロフ) - 切ない…けれど面白かったです!。泣いちゃいました。素敵な作品ありがとうございました (2019年11月10日 10時) (レス) id: 9b4868f67e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっちゃろん | 作成日時:2019年10月21日 12時