色 付 く 世 界 で。【煉獄杏寿郎】

二十八 ページ28

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煉獄が胡蝶に相談をしていたほぼ同刻.


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『 あの、紗江さん 』


「 んー、どうした？ 」





その日は店の定休日ではあるが、工房で硝子細工作りの練習を重ねていた.





『 その…、聞きたいことがあるんです.

この前、友人に会うと言ったじゃないですか.





その人と会うと、胸の奥が暖かくなったりドキドキしたり…

手紙が届くとなんだか心が踊るような感じがするんです…



ずっとそんな状態が続くんです.





なんでなのでしょうか…… 』











一瞬、その場が静かになる.


けれど、すぐさま紗江さんは元気よく笑いだした.





「 ﾊﾊﾊｯ、そりゃ恋しかないだろ！ 」


『 こ、恋ｯ!? 』





恋なんて今までしたことがなかった.


だから、この感情がなんなのかすら分からないのだ.










恋、その言葉に心拍数が上がるのを感じる.










「 あー、もしかして！
この前、祭りの時に話してた奴かぁ？ 」



『 ……！ 』





「 やっぱりな〜！ 見りゃわかったよ.
あんたの目、完全に恋してる目だったからねぇ 」





ニヤニヤと笑う紗江さん.





目は口ほどに物を言うというけれど、
まさか客観的にそう見えてしまうということは…










『 で、でもｯ…、私なんかが彼を好くなんてよくない気がしますｯ 』





「 なんでそうなるのさ？

誰かを好きになるって、素晴らしいことだと思うけどねぇ …



それに、一度動いた心をなかったことにするのは自分の心に失礼に値すると思うよ. 」








『 …ｯ… 』










気が付かないうちに、彼を…

杏寿郎さんを好きになってしまっていたんだ…













知ってしまった、初めての感情に

きゅっと胸の奥が苦しくなった.





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