"さいご"まで、 【irxs】【奇数組】

Episode１８． ページ19

夢主side


「失礼します。」


コンコン、と２回ドアをノックして、私の担当をしてくれている北村先生のいる部屋へ入る。


「花散さん、検査お疲れさまでした。」


「あ、Aちゃんや。検査お疲れ。」


中に入ると、北村先生だけでなく、青園先生も座っていた。


「ありがとうございます。……えっと、何かありましたか？」


目の前にあった椅子に座りながら先生に質問する。


呼ばれたってことは何らかの用事があるってこと。


……悪いことじゃないといいけど。


「うん、ちょっと見てほしいものがあって。」


先生がカチャカチャと音を立ててパソコンをいじり、その画面を私に向けてくれた。


「これ、青園先生が調べてくれてたことなんだけどね。ここ、見てほしいの。」


画面をズームして、指さして教えてくれたところ。


"治療法不明"の横に、"薬完成"と書かれていた。


「え……？薬、って……？」


治せないけど、薬はあるってこと……？


「症状が進みにくくなる薬やで。……ほら、同じ子いたって言ったやろ？その子のおかげでできるようになった、ってものの中の１つ。だから、時間はたくさんある。」


「青園先生が作ってくれたものなの。これで治るってことはまだはっきり言えないんだけど、これがあればある程度回復する。」


回復……治るかもしれない、ってこと？


「じゃあ……！」


「ただね、１つだけ条件みたいなものがあって。」


"お願いしたいです"と言いかけた私の言葉を遮るように先生が言った。


「この薬、治療薬として使っていいかどうかはまだ試してない。……つまり、花散さんが最初の投薬者になるってこと。ご両親の許可を取らないといけないのはもちろん、本人の意思も聞くってことになってて。」


「……危険性、とかってやっぱりあるんですか？」


私がこの薬を飲めば、もし同じ病気を発症した子がいても、薬を使うことができるのかもしれない。


だけど、薬が認められていないってことは、危険性とか、副作用とかもわかってないってこと。


「……詳しくは試してないから言えないけど、その可能性はある。その辺りを全部ひっくるめて、考えてもらいたいの。」


「……わかりました。両親にも相談してみます。」


「うん、僕たちからも説明はするよ。じゃあ今日はこれでお終い。検査結果は明日以降に伝えるね。」


椅子から立ち上がり、ドアの方へと歩く。


「ありがとうございました。」


そう挨拶をしてから、私は部屋の外へと出た。

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