Episode12. ページ13
「……聞いてると思うけど、Aちゃんの病気には『治療法』が無い。だから、完全に治るとは言い切れない。」
ゆっくりと話し出した先生。
後ろで初兎さんが息を呑む音が聞こえた。
……ここにいて気分悪くなったりしたら申し訳ない。
「それと、俺は昔、この病気を診ていた。その患者さんは、1年たたずに亡くなった。」
「っ……そうだったんですか。」
ってなると、私ももしかして……
「でも、延命治療は出来るようになった。……Aちゃんは、その間に俺が治す。」
……え?
そんなこと言って大丈夫なの?
「治す」って……延命治療はわかるけど、治せなかった病気を治せるようにするって……
「……これは俺の私情もあるんやけど、Aちゃんのこと、死なせたくないんよ。」
「でも……気持ちは嬉しいですけど、治らない病気なんですよね?それを治せるようにするって、大変なことじゃないですか……」
私1人のせいで回りに迷惑をかけるくらいなら、延命を繰り返した方がいいって思っちゃう。
……生きたいって思いももちろんあるから、すごく矛盾してるけど。
「大変かもしれへんけど、できる限りのことはやる。最初に診てもらってた先生おるやろ?あの先生も手伝ってくれる。」
「……ありがとうございます。」
私がそう言って頭を下げると、「俺がやりたいことやから。」と先生が断った。
「今伝えられるのはこれだけ。同じ病気って言っても、症状が違う可能性がある。それがわかったら、俺じゃなくてもう1人の先生が伝えてくれるから。」
「わかりました。……えっと、この説明って他の人にしても大丈夫ですか?」
……まぁりうらっていう幼馴染み兼彼氏のことだけど。
「別にええよ。……お見舞い来てた赤髪の子?」
「あ、はい……彼氏です。」
「へ〜、めっちゃお似合いやん。んま、別に説明しても大丈夫やで。それじゃ、俺はここで。」
先生が椅子から立ち上がって、部屋から出ていく。
「……Aちゃん、そんな病気抱えてたん?」
「そうみたい……治せないってのは知ってたけど。」
気分悪くしたりしてないかな……
「……そっか。余命宣告とか、ってされたん?」
「いや、それはされてないかな……」
いつされるかわかんないけど。
「なら大丈夫、絶対まろちゃんなら治してくれるで。……あ、今からトランプせぇへん?まだ時間あるし。」
暗い雰囲気になったのを初兎くんが変えてくれた。
「トランプ!やりたい……!何やる?」
……病気だからとはいえ、普通の生活できるからこういうのは楽しまないと。
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れん(プロフ) - 更新ありがとうございます! (8月28日 18時) (レス) @page22 id: f4dea89aed (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - Cometさん» 楽しみに待ってます (8月18日 10時) (レス) id: f4dea89aed (このIDを非表示/違反報告)
Comet(プロフ) - れんさん» コメントありがとうございます✨もう少ししたら更新できると思うので楽しみに待っていただけると幸いです……!応援ありがとうございます! (8月17日 23時) (レス) @page21 id: b9234993da (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 面白かったです次の話が楽しみです!更新頑張ってください (8月17日 18時) (レス) @page21 id: f4dea89aed (このIDを非表示/違反報告)
Comet(プロフ) - 想羽〜souha〜さん» ありがとうございます……!更新停止気味ですが頑張りますね!! (7月2日 20時) (レス) id: b9234993da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Comet | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/irisuidei13/
作成日時:2023年4月17日 19時