2 ページ2
大学を卒業したのはいいが、就職先がなかなか見つからなかった。
何十社と面接を受け、不採用通知やお祈りメールを何十通も受け取っていた。
初めはウキウキして来ていたスーツもいつからか思い鎧のように感じた。
ピカピカだったパンプスだって、いつからか踵がすり減り、傷で霞んでいった。
あの時の私は、履いていたパンプスのように痛み、ボロボロになって病んでいた。
"私って誰にも必要とされてないんだな"
特に悪いところなんて自分では何も見つからない。
でも面接官には私はダメ人間に見えるんだろう。
あぁ、私ってダメな人間なんだ。
どうしようもない人間なんだ。
今まで自分では気が付かなかっただけで、もしかしたら友達もそう思っていたのではないか・・？
なんて思考は悪い方へと傾いていく。
無くなっていく自信に比例して、書類選考さえも通らなくなっていった。
そんな中、なんとか書類選考を通過してやっと面接までこぎつけた私。
藁にもすがる思いで面接に臨んだ。
結果は見事採用！
地獄から一気に天国に行った気分だった。
どこでも、どんな条件でもいい。
私を必要としてくれている会社なら。
身を粉にして働こう！
そんな風に感じていた。
初めはみんな優しかった。
上司も、先輩も。
でもそれはほんの少しの間だけ。
仕事はどんどん増える一方。
終わらせることができない私が悪いと責められる。
"無能"だと。
"クズ"だと。
先月の残業109時間
今月の残業120時間
来月は・・？
来年は・・？
家に帰れない日々
なくなる食欲
止まる生理
増えるストレス
私、何のために、働いているんだろう。
私、何のために、生きているんだろう。
だんだんと感覚は麻痺して、何も考えられなくなった。
あぁ。死んだら楽になれるのかな。
ふらふらと歩き、
気づけばどこかのビルの屋上にいたこともあった。
でも死なずに、この世にいるのは、"彼"がいたから。
"彼"だけが、心の支えだった。
フェードアウトしていく意識の中、あの会社を選んだ自分を責めた。
こんなことなら就職なんて諦めて、アルバイトでもすれば良かったんだ。
こんなことならあの時、すぐに辞表を出していたらよかったんだ。
まだ間に合ったかもしれない。
健康で、楽しい生活を送っていたかもしれない。
でももう、
間に合わない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 901人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ruru_chandayo00(プロフ) - 続き楽しみにしてます(T . T) (2022年10月4日 23時) (
レス) @page50 id: 2657a5593c (このIDを非表示/違反報告)
irisirislusfin(プロフ) - ののん♡さん» コメありがとうございます。別のお話がもうすぐ完結しますので、こちらに戻ってきます！更新お楽しみに！ (2022年7月9日 15時) (レス) @page28 id: ff81f61bed (このIDを非表示/違反報告)
ののん♡ - 凄く面白いです！読んでてワクワクします！ (2022年6月12日 8時) (レス) @page26 id: 168fbd5e50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミンの甘露煮
| 作成日時：2022年5月28日 18時
