嫉妬 ページ6
この可愛い系女子はここの従業員らしい
制服に着替えてきた彼女は
「ユンギくん」
可愛い声でユンギを呼ぶと
ヒソヒソと耳打ちし、なんだか楽しそうに笑って見つめ合ってる
"あのことなんだけどー"
私の知らない会話
私の知らない表情
立ち入れない領域
手元の本はとっくに最終ページになっているのに
全然読み終えることができなくて
視界の隅っこに見えるそのやりとりに
胸が締め付けられる
"あとでね"
そう言うと彼女はバックヤードに消えていった
あとで、、か・・
なんか、もう、なんていうか
あの子には勝てないって気がして
不戦勝の反対ってなんて言うの？不戦敗？
若くて可愛いくて、なんなら声も可愛くて、明るいし、多分性格もいいと思う
なにより、お似合いなんだよね
そりゃあこんな年上の女じゃなくてあんな子と一緒にいる方が楽しいよ
私なんかと洗剤なんて買いに行きたくないよね
青春なんだもん
ユンギが私といるメリットが家賃以外に浮かばなさすぎて
自暴自棄になりそう
ただの飾りになってしまった本をパタリと閉じる
『可愛いですね、さっきの従業員さん。』
YG「うーん、そうですかね？まぁお客さんに人気だと思いますけど。」
私もあんなに可愛ければ
ユンギにあんな風に見つめてもらえたのかな
あー
私めっちゃ嫉妬してるよね
『・・ああいう子がタイプですか？』
YG「え・・？」
私の問いにキョトンとした表情
今までこんなの話題にしたことがなかったから
驚いてるんだろうな
『あはっ、何でもないです。気にしないで下さい。』
ぐいっとコーヒーを飲み干した
『お会計してください。』
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作者名：ミンの甘露煮
| 作成日時：2023年6月6日 21時
