おまけ 白猫vs黒猫 前編 ページ40
日本とは違い韓国にほとんど台風が来ることはないが
2年ぶりに、それはやって来た
ビュウウウウ!!!!
『うおっおお!!』
目に入ってくる雨粒
カツラだったら秒で吹き飛ばされたであろうほどの風
電車は止まり、バスも止まり
何とか捕まえたタクシーもマンション手前の高架で渋滞のため立ち往生した
ここでいいです、とタクシーを降りた私は風に飛ばされそうになりながら歩いて帰宅中
『もぅ、、すぐっ・・だ!!』
雨で張り付く服
風であっちこっちに散らばる髪の毛
早くお風呂入りたい
その一心で足を進めた
ようやくエントランスというところで
それは聞こえた
どこかで
微かに
"ミャー"
と鳴く
か細い声が
『これってまさか・・』
脳内再生されたのはユンギと出会ったあの台風の日
居ても立っても居られなくなって
私はエントランス横にある駐輪場へと向かって行った
『どこー?』
『どこにいるのー?いるんでしょー?』
完全に屋内というわけではないから
壁のないところから吹き込んでくる雨と風
『痛って!!』
誰かが置き去りにしてたボロボロの傘が飛んできたし!
ちゃんと捨てろよ!なんてキレながら声の主を探す
ミャー
『お、』
ミャー
『あっ!いた!!』
倒れた自転車と自転車の間に
小さくて真っ黒な子猫
『ケガはない?今助けてあげるからね!』
ヨイショ!
ガシャン!
『ゔっ!!』
倒れた自転車を起こして子猫を抱き上げると
別の自転車が倒れてきてハンドルが脇腹に刺さった
ミャー!
ミャー!
"大丈夫か!"
と心配してくれてるように私を見て鳴く子猫
『大丈夫だよ。あなたにケガがなくてよかった』
クリクリとした大きな目の子は、ケガもなく元気そう
『お風呂入れてあげるね。お腹も減ったでしょ?』
ミャー
『ははw ちゃんと返事できるの?えらいね』
久しぶりに見た可愛い子猫にキュンキュンしながら
私はその子を抱いて部屋へと向かった
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作者名:ミンの甘露煮 | 作成日時:2023年6月6日 21時