キミの好きなもの。 (ページ4)

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『今度、ご飯でも、』

優しく微笑みそう口にする大我。

「俺、めしはいいかな、」

『ぁ、ごめん、突然、怖いよね…、』

そうじゃない、
焦りながらそう伝えようとしたけど無意識に口を噤む。

悲しませてしまった。

でも、いつからだったっけ、
この体がご飯を受け付けなくなったのは。

頑張って食べても吐いてしまう。
それに病気なんてしたことないし、吐くのが下手くそだからただひたすらに苦しいだけで。

ネットで検索すると、

これはたぶん、拒食症というものなんだろう。

ただでさえ細身のこの体がさらにやせ細ってブカブカの服ばかりを着るようになったのは、

いつからだったっけな。

それすらも当たり前になりつつある現実に、なんだか虚しくなった。

『樹…？』

「あ、ごめ。今度ジュースでも奢ってよ笑」

『…？、うん笑』

でも、彼がそこで笑っている。

なんかよくわかんねえけど、

今の俺にはそれが幸せだった。