10……腹話術 ページ13
「え？今なんて？」
「だから、腹話術をやると言ったんだ」
「……腹話術」
ルッチの口から聞いた腹話術と言う言葉。ジャブラと別れてから、いつもの部屋に行くと、ルッチからまさか腹話術をやると言う言葉が聞ける日が来るとは思ってもいなかった。
「ちなみに職場は？」
「ガレーラカンパニーだ」
「ガレーラカンパニーで、ハトを連れている、腹話術師プラス、プロの船大工？……え、何？お笑い芸人でもなろうとしてる？」
私がそう言うと、吹き出したカクが「ルッチにお笑いは無理じゃろ」とゲラゲラと笑いながら言った。
「いや、案外イケるかもしれないわ」
「ルッチがお笑いしている所か……想像しずらいな……」
「でも舞台に立ってるだけで面白いじゃない？」
「おいまて、俺はお笑いやるつもりはないぞ」
「もしもの話しよ、安心して」
「……」
いじられて少し機嫌が悪そうなルッチは置いといて、皆がどんな職場に着きたいのか聞いた。
「他の皆はどんな所にするの？」
「わしはルッチと同じガレーラじゃ」
「私はアイスバーグの秘書募集に行ってみようと思っているわ」
「俺はバーを開こうと思ってる」
「バー！？」
「人が集まる所なら情報も集まると思ってな」
「あ、なるほど」
てっきりブルーノの趣味かと思ったと言うと、呆れたように「そんな訳ないだろう」と言われた。
いやー、ブルーノがバーを開くのかー……。絶対常連客になるわ。この前の任務の帰りに作ってくれたオムライスめっちゃ美味しかったんだよねー。いや、まじ冗談抜きで。多分殺し屋よりもシェフの方が天職だと思う。
「Aはどうするつもりなんじゃ？」
「あ、私？ガレーラに行きたいなーって思ってる」
「それだとガレーラに4人も集まっちゃうじゃない」
「そう、それが問題なの」
そう言いながらビシッとカリファに指を指した。どうしようかなと手を顎に置いて考えてると、ブルーノが「人は少ないより多い方が得だろう」と言ってくれた。ブルーノに続いてルッチも「女も居た方が情報も集まりやすい」と言った。ルッチに関しては言い方がすっごいムカつくけど……。
「2人がこう言ってるんじゃ、お主が気にする必要はないわい」
「好きな所入りなさい、A」
カクとカリファがそう言ってくれたから、舞い上がった私は「やっっった！！」と言い、小さくガッツポーズもした。
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作者名：カツカレー x他1人 | 作成日時：2021年4月1日 19時
