1……可哀想に（☆） ページ2
今日は綺麗な月が出ている。こんな日は月を見ながらお酒でも飲みたいと思うだろう。しかし、女はそんなこと気にも止めないで、男の頭を鷲掴みしている。
「あのさぁ、いい加減はいてくれない？こっちもこっちで暇じゃないだよ」
「う、うぅ……誰が……政府に、言うかよ！」
男がそう言うと、女は残念そうに肩を落とした。
「……そっかぁ。言ったら殺さずに済んだのになぁ。非常に残念だなぁ……」
女は男の頭を更に強く握る。それに比例する様に男の苦しそうな声が大きくなる。
「おい、もうここの建物には用はない。帰るぞ」
「あ、ルッチ。他の人が話したみたいだよ。良かったね。君自身が言う羽目にならなくて」
女はそう言いながら少し口角を上げた。男はその笑みが恐ろしいのか、情報を政府に知られた悔しさのせいなのか分からないが涙を流している。
「泣いちゃった？ごめんねー。でも、君たちの組織が民間人を脅してお金を稼ぐように、私たちもこうやってお金稼がないといけないんだ。分かってくれる？」
「分かった！だから……命だけは！」
どうやら涙を流していた理由は命が惜しかったようだ。でも、女にはそんなことはお構いなしだ。更に強く頭を握る。
「お前に頭蓋骨を割れるような握力はないだろう。貸してみろ」
「割るためじゃないよ。まあ、見ててよ」
女はまるでスコープを覗いて照準を定めるように、男の目をじっくりと見ている。そして女は、手をVサインにし、男の両目に近づける。
「指銃」
女がそう言うと、勢いよく男の両目を指で突いた。
「う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁーーーー！！！」
男は目を突かれた痛みでジタバタと暴れる。女の手から逃れるために、頭を掴んでいる手を爪を立てて女の手をガシガシとひっかいている。
「ちょ、痛い痛い」
「なんで目を突いたんだ？」
「あー。この前見た本の中に、目を深く突いたら死ぬって書いてあったから、興味本位でね」
指の長さが足りなっかたのかなーとのんきに独り言をつぶやいている間にも、女の手はひっかかれているが顔を全く歪めない。
「はぁー……そろそろ手ボロボロになっちゃうから離してあげる」
男は支えが無くなり床に落ちるとすぐさま立ち上がった。しかしいきなり視覚を失い、平衡感覚がとれないのか男は、よろよろと歩いては倒れ、歩いては倒れの繰り返しだ。
「いいのか？あいつ逃げるぞ？」
「あれで逃げれると思う？てか、心配しなくてもちゃんと
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作者名：カツカレー x他1人 | 作成日時：2021年4月1日 19時
