33：落下 ページ34
「シャオくん、これあげる」
あたしの言うつもりだった台詞を、もっちが言うのを耳にした。
シャオくんだって、あたしのことを好いている。そう思っていたけれど、段々と不安にもなる。あたしの自惚れだった？自意識過剰？
もっちとシャオくんを盗み見ると、とんぼ玉のストラップが、もっちからシャオくんへ渡っていた。
もっち作の、黄色がメインのとんぼ玉。やっぱり、シャオくんといえば黄色、よね。
海辺での短い休憩時間に、なんでこんな気分にならなきゃいけないのよ。
二人を視界にいれないように。砂浜のほうへ降りようと階段に足をかけた。
途端に、体が傾いた。滑って、落ちる……！？
妙に頭はクリアだった。スローモーションのように地面が近づいていく。
なんで、今になってこんな。
忘れたい過去も、頑張った過去も、楽しい過去も、いろいろな思い出が押し寄せるように脳裏によぎった。
全身に衝撃を受けて、あたしは、意識を手放した。
＊
「Aっ！？」
川崎の悲鳴が聞こえて、おそらく、その場にいた全員が振り向いた。
肝心のAは見えなくて、石とかに躓いて転けたんやろ、あいつあぁみえてどんくさいし。とか、考えていた。
「きゅ、救急車を……！」
「……へ」
その場はパニック状態で、先生が、とりあえず全員バスに戻るようにと叫んでいる。
俺はふらつく足で、下を見た。
「A……！？」
ただ転けただけではないことは明らかだった。
『お前はあと1年で死ぬ』
なんでこんなときに、あの訳のわからない手紙を思い出すのか。
ただのいたずらだと強がっていたけれど、Aだって怖かったはずのあの手紙。
あれがもし、いたずらじゃなかったとしたら？
おいおい、勘弁してくれよ。まだ１年も経ってないだろ。
嘘だって言えよ。気持ち悪いいたずらのせいで無駄に怖いやん、ホンマ、嘘やって。
階段を駆け降りた。Aはここから落ちたらしい。ホンマ、アホやんそんなの、バカ、どんくさいにも程があるやろ。
「ホンマ、アホやろ……！」
なんで俺が呼んでんのに目ぇ開けへんの。
なんで、お前、そんなに、ピクリとも動かないの。なんで、なんで、なんで、………
「シャオちゃん、とりあえず落ち着こ？な？」
「落ち着いて居れるわけないやろ！？」
救急車が来て、Aが運ばれるまでの間、俺はただ、Aを遠くから見ていることしかできなかった。
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heroes(プロフ) - 3人ともめちゃくちゃ面白かっです。何度も読み返させて頂いてます。その中でもこの視点は今か今かと続きを待っていました。いざ終わると凄く寂しいです。これからも読み返させて頂きます。 (2019年10月5日 21時) (
レス) id: b066a86010 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - zut（ジット）さん» 本当ですか？嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！笑 (2019年5月10日 17時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 夢主ちゃん可愛い…ちょっとクールというかツンデレ感というかそーゆーとこめっちゃ好き。キャラ的に一番好きやなぁ (2019年5月5日 0時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - zut（ジット）さん» 早い！いつもありがとうございます、すき！がんばるのてこれからもどうぞよろしくお願いします〜〜！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - お気に入りは７人目かな…出遅れてしまった(´・ω・｀)でも一コメやから良しとしよう！これからも一コメを取り続ける宣言します(｀･ω･´)ゞ (2019年4月10日 23時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
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