14：弁当 ページ15
「A！あれは？弁当は？」
お昼休みになると直ぐに、シャオくんが走り寄ってきた。なにその笑顔。ちょっと満更でもない。
あたしは鞄の中からお弁当を取り出して、シャオくんに押し付けた。
「やった」
「あんまり期待しないでよ」
「昨日の自信はどこにいってん」
「う、うるさいわね」
伊織の手際をみてたら、自信なんてなくなるわよ。あれが女子力か。
「大先生に自慢してこよ」
「まって、だめ！絶対だめ！」
シャオくん知らないかもしれないけど、その宇津井は伊織からの可愛いお弁当をもらってるのよ！
ハンバーグひとつとってもあたしのほうが形が歪だし。絶対比べてほしくない。
「なんで？」
シャオくんは首をかしげると、あたしの席でお弁当の包みを開けはじめた。
「ちょっ、シャオくー」
「ん！おいひいやん！」
口のなかに卵焼きを含んだまま、シャオくんはそう言った。
「何でここで食べるのよ…」
「全然おいしいやん！彩りも綺麗やし」
「わかった、わかったから」
「この和え物すき」
「わかったって…！！」
にやにやしながら褒めないでほしい。からかってるのわかってても、ちょっと嬉しいでしょ！
頬が緩むのを隠すように手で口を押さえた。
伊織と星奈が近くで机を移動させてくっつけているのが見えた。合流しよう。
「いつもシャオくんってご飯どこで食べてるの？」
「生徒会室」
「なんで？！」
「なんでやろ、もう何も考えんと集まってるから」
そんなものか。
生徒会室ね…宇津井も行くなら会うでしょうし、仕方ないか。
「じゃ、いただきます！もう食うてるけど」
お弁当の蓋だけ閉めて、走っていくシャオくんを見送った。
「……なによ」
「別にぃ〜？」
「おいしいやんいただいたね」
「あんたたちね…！」
心底楽しそうににやついている伊織と星奈。
はぁ、とため息をついて、机をくっつけた。
「でも本当に、さっきのシャオくんすごいイケメンだったね」
「うん、思った、あれはモテる動きだったよ」
「まぁ…そうね、そうよ、あたしもそう思ったわ」
なんか悔しいけど。
「最近志谷くん、かなりAに絡んでるよね」
と星奈が言う。伊織も激しくうなずいている。
二人は知らない、シャオくんがあたし宛の変な手紙を拾ったこと。
それがきっかけであたしに絡んでいるってこと。
でも、そうね。
たしかに、後悔のない1年になるかもしれないわ。
…何だかんだ言って、楽しかったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 322人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
heroes(プロフ) - 3人ともめちゃくちゃ面白かっです。何度も読み返させて頂いてます。その中でもこの視点は今か今かと続きを待っていました。いざ終わると凄く寂しいです。これからも読み返させて頂きます。 (2019年10月5日 21時) (
レス) id: b066a86010 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - zut（ジット）さん» 本当ですか？嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！笑 (2019年5月10日 17時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 夢主ちゃん可愛い…ちょっとクールというかツンデレ感というかそーゆーとこめっちゃ好き。キャラ的に一番好きやなぁ (2019年5月5日 0時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - zut（ジット）さん» 早い！いつもありがとうございます、すき！がんばるのてこれからもどうぞよろしくお願いします〜〜！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - お気に入りは７人目かな…出遅れてしまった(´・ω・｀)でも一コメやから良しとしよう！これからも一コメを取り続ける宣言します(｀･ω･´)ゞ (2019年4月10日 23時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
