1：余命 ページ2
新学期の朝。
学校の下駄箱で、余命を宣告された。
医者にじゃない、全く意味のわからない謎の手紙で。
馬鹿らしい、こんなもの誰が信じるかっての。
『お前はあと1年で死ぬ』
誰のいたずらかもわからない。適当な脅しだろうけど。
破り捨てようとして、やめた。
くしゃりと握りつぶされた手紙をポケットにしまう。
……くだらない。誰かの嫌がらせ？
今のあたしに、恨みがある奴？
私は変わったはず。陰湿な嫌がらせを受けるような、一人だったあの頃とは違う。
スクールカーストも上位だし、昔とは違う。
ここは関西だ、あの頃の私を知る人もいない。
だから怯える必要なんてないのよ。
堂々としてればいい。
気味の悪い手紙のことなんて、気にしなくていいのに。
新しいクラスに向かいながら、考えてしまう。
……もし、本当にあと1年の命なら？
あたしはなにをして、どんな風に死んでいきたいんだろう。
・
・
伊織と星奈が同じクラスでよかった、一から友人を作るのは面倒だし、二人と居るのは居心地がいい。
伊織はいかにも女の子、という感じでコスメやファッションにも詳しい。
星奈は空気が読めて、大抵のことは広く浅く知っている。
それと、他にも同じクラスで気になる人が居る。
あそこで喋ってる人…
シャオくん。
そんなあだ名で呼んでいる彼は、前も同じクラスだった。
顔がよくてスポーツも出来る。つまりモテる条件が揃っている。
やたらとモテる仲間内では、不人気扱いされているらしいけど、絶対嘘でしょ。
あまり話したことはないけど、気さくで話しやすかった覚えがある。
「お、Aもまた一緒やん」
「シャオくん。そうね、今年もよろしく」
「よろしく！」
シャオくんと親しくするメリットは大きい。
目立つ男子グループと関わることはそれだけでステータスになる。スクールカーストにも影響してくる。
今年も私の地位が脅かされることはなさそうね。
自分の席に座り、リップを塗り直そうとポケットに手を入れた。
かさり、と音がする。
さっきの手紙。
あたしは努力してここまで来た。
昔とは違う。
華々しい高校生活を送っている。そうでしょ？
伊織が入ってきたのが見えて、ついでに教室を見渡すと、星奈も来ていたと気づく。
「ロボロくんと違うクラス…」
机に伏せた伊織が言う。
恋愛。
今までは、自分を強く見せることばかり考えていた。
…もし、余命が１年なら。
あたしは恋愛をしてみたいかもしれない。
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heroes(プロフ) - 3人ともめちゃくちゃ面白かっです。何度も読み返させて頂いてます。その中でもこの視点は今か今かと続きを待っていました。いざ終わると凄く寂しいです。これからも読み返させて頂きます。 (2019年10月5日 21時) (
レス) id: b066a86010 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - zut（ジット）さん» 本当ですか？嬉しいです！今後ともよろしくお願いします！笑 (2019年5月10日 17時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 夢主ちゃん可愛い…ちょっとクールというかツンデレ感というかそーゆーとこめっちゃ好き。キャラ的に一番好きやなぁ (2019年5月5日 0時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - zut（ジット）さん» 早い！いつもありがとうございます、すき！がんばるのてこれからもどうぞよろしくお願いします〜〜！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - お気に入りは７人目かな…出遅れてしまった(´・ω・｀)でも一コメやから良しとしよう！これからも一コメを取り続ける宣言します(｀･ω･´)ゞ (2019年4月10日 23時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
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