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ロビンソンが手にしたのは、Aだった。
Aは目を見開いた。
「君は面白くらいにブラックの血を引いてないね。
おいで。
こんな嘘つきからは逃れたほうがいいだろう。」
母親の腕から移ったことで赤ん坊のAはさらに泣き声を挙げた。
「ああ、大丈夫。
どこにもやったりしないから。
それじゃあ、君は好きにするといい。」
そう言って、マーシェリーからAを取り上げて、代わりに、取っていた杖をマーシェリーの手に委ねた。
結局ロビンソンは部屋を出て行ってしまう。
父に選ばれ、母親から理不尽な理由で引き離されたこと、それがどれだけのことなのかわかっているのか、赤ん坊のいつまでも泣き声が響いていた。
Aが呆然としていると、マーシェリーの目から涙が流れた。
そしてふと、彼女はタペストリーを見上げる。
タペストリーにうっすらと名前が浮き上がろうとしている。
マーシェリーは涙をぬぐわなかった。
持っていた杖を握って、タペストリーに触れる。
タペストリーにこげ後はつかなかった。
変わりに、淡い蒸気のようなものが出た。
まだ名前を残す前だからだろうか、蒸気を上げて、まるで霧の中にかすむように字が消えた。
Aが見たマーシェリーはひどく悲しそうな顔をしていた。
腕の中を強く握り締め、大丈夫よ、大丈夫だから、と必死に自分に言い聞かせるように言葉を続ける。
背を丸めたまま泣き続けた母親は、ロビンソンと同じように部屋から出て行った。
タペストリーに残っていたのは、Aの名前だった。
まるで夢から無理やり引き釣り出されたような感じがしたA。
気がつけば、マーシェリーと同じようにAは泣いていた。
A様とグレイの声が静かに響く、クリーチャーはひたすらにタペストリーをめでるようにそっとなで続けていた。
Aはしばらく呆然とした後、グレイ、と名前を呼んだ。
「はい、何でしょうか。」
「この記憶は母の物で間違いないのね。」
「はい、確かにマーシェリー様のものにございます。」
「どうして、今、私に見せたの？
ここにくるように言ったのは母ではないのよね。」
鋭い声にグレイは、静かに首を横に振った。
Aは眉をひそめた。
「これを父は知っているの？」
「いえ、わたくしが知る限り一切ご存じないかと。」
「母の指示で、父には内緒、このタイミングでこれを見せたのは母が父に復讐したいから？」
Aの問いかけにグレイは無言だった。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ありがとうございます、コメントをいただけると、本当に励みになります。そうですね、プライドが高いのはレイブンクローの特色ですから(笑) (2019年9月6日 3時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読み続けています。ベルモットです。ハリーポッターシリーズの夢小説は何度も読んでいる身なので自然に興味が出ていました。夢主がプライドが高くて健気だなぁと思いました。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - うさぎさん» ありがとうございます！まだまだ未熟者ですが是非よろしくお願いします！ (2019年7月19日 12時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - 先程見つけて一気に読んでしまいました！ここまでハマれる作品に久々に出会えて嬉しいですっ！素敵な作品、更新楽しみにしてますね！ (2019年7月19日 9時) (レス) id: ebaf376ead (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月18日 15時
