【派生作品】怪異達の日常 (ページ12)

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結論から言えば、その子犬は元気になった。衰弱が酷かったものの、テスの血を飲ませ、他の様々な妖怪達の保護を受けてすくすくと育ってきた。

　テスはうんざりとした顔をして床に座っていた。その膝の上に、小さな、しかし元気な子犬が乗っている。尻尾を千切れんばかりにぱたぱたと振って、テスに甘えている。

「散歩が面倒だ」

「いや、世話はちゃんとしろよ。お前が拾ったんだぞ」

　犬飼が言うと、テスはぶつくさと文句を言いながらもその子犬の首輪にリードをつけはじめた。リードをつける事が散歩の合図だと知っているようで、その子犬はたくさんきゃんきゃんと鳴いて、そして喜びのあまりにか、テスの膝の上に小便を漏らした。

「あっ、おいこら！」

「あちゃー」

　テスは眉間にシワを寄せた。少し着替えてくるからこいつを預かっていろ、と犬飼にその子犬を預け、テスは犬飼を部屋の外へ追い出す。掃除も自分でするつもりのようだ。

　一方の子犬の方は、テスがいなくなった事に気付いていないらしく、犬飼の匂いを嗅いでいる。相変わらず尻尾を振ってはいるものの、テスに甘えていた時ほど激しいものではない。

「だめだぞ、お前のご主人様怒りっぽいんだからな。お前なんて一口で食べられちゃうぞ」

「くぅん？」

　冗談交じりにそう言うが、子犬はよく分からないように鳴いた。