甚爾は私の弟ですが【呪術廻戦】

「No.12」『明言について』 ページ12

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それにしても。


『黒井ちゃんがいてくれて良かった！』

「急に抱きつかないでください」

『いやぁ、夏油くんの呪霊になんて乗らずに
　私の元へ来てくれれば良いのに』

「あはは…
　意外と楽しいんですよ」

「何、お前ら面識あんの？」

『家系が家系なので…
　そういう付き合いの中で会ったんです
　ねー、黒井ちゃん！』

「温度差が…」

「歳もそんなに離れてないので、
　話があったんですよ」


久しぶりの黒井ちゃんに、
夏油くんと五条くんの前にも関わらず、
テンアゲしている人の姿がそこにはあった。

ていうか、私だった。


「そういえば、弟くんとはどうです？」

『あー、甚爾なら普通に生きてるよ』

「へー、弟いるんですね」

『うん
　あ、はい、そうです、います』

「あ、今もあの子たち出せます？」

『出せる出せる！
　玉犬！』

「そういやぁ、十種影法術とか何とか言ってたな」

『うん
　あ、はい、そうです、相伝です』


わしゃわしゃわしゃ！
という擬音が出そうな撫で方をしている黒井ちゃんを
ニヤけ顔で眺めている人の姿がそこにはあった。

ていうか、それも私だった。


「ふーん、流石っちゃあ流石だな
　術師守りの名は伊達じゃないな」

『え？』


私は首の角度を90度程変えた。

何ですかそれ。


『術師殺しの反対語？ ですか
　術師守りって』

「いや、だって今までの任務で対象者や同行者を
　1人だって失っていないだろう、あなたは」

『そんな事…』


なくない。

そんな事、あった。

誰も、何も失わずにここまで来た。

任務に限りの話だが。


「凄いんですね」

『凄くないよ！
　人は1人で勝手に助かるだけ、なんだから
　私が守ったんじゃなく、勝手に助かったんだよ』

「迷言かよ」
「名言だね」

『明言したつもりだったんだけど』


迷言。
名言。
明言。

物は言いよう、とは言うものの。

この場合は全てに当てはまりかねない。


『私にも異名、あったのかぁ』


成り上がってしまった。

成り下がってしまった。

術師殺しと術師守り。


「てか、術師殺しって誰？」

「私も詳しく聞きたいな」

「私も気になります！」

『え、えぇ？』


一気にみんなに話しかけられた。

怖い、人間恐怖症になっちゃうよ。

いや、ならないけど。

人間関係って大事だなぁと、数秒葛藤した後。


『術師殺しは…』


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