(46)９８.５page ページ8
・
試験監督からテスト中の違反や注意を聞き、問題と解答用紙が回ってくる。
明らかに僕の後ろを気にし、一番前の赤羽が手を止める。お前が止めたら後ろまで行き渡らないだろ、と束を取った。
動揺したままの赤羽は放っておこうかとも思ったが、対等な条件での勝負を申し込んだ僕は、集中しろ、の意を込めて小声で喝を入れてやる。
覚えているんだろう。総合点数、劣った方が彼女に近付かないって。
僕は確かに昨日そう言ったのだから。
互いに互いが干渉しなければ、と常々思っている筈なんだ。勝った時のメリットを確信して、赤羽も勝負に乗った。
チャイムと同時に問題を開く。Aの為にも、自分の為にも、手を抜く訳にはいかない。
――その後もAの入室は無かった。
送ったメッセージへの返事もないまま放課後になり、僕はそれとなく担任からAの話を聞き出した。どうやら一限目は電車でトラブルに巻き込まれた為遅刻。そのまま別室受験に。
事情が事情であり、一応古典も受験はするらしい。
……ただ総合点数には反映されないと。
これを聞いた時、Aはどんな気持ちだったか。相当落ち込んだんじゃないか。しかし彼女が教室に入って来ないなら、会う事も出来ない。
慰める事も出来ないまま、中間考査は幕を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちごみるく - こんにちは。コメ失礼します…凄く良いお話ですね！（名前）ちゃんが好きだけど想いを伝えられない○○くん。みたいなストーリーが凄く好きなので…！他の作品も頑張ってください！ (2022年4月17日 7時) (
レス) @page16 id: 62bd40b07f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵
| 作者ホームページ：https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時：2020年7月17日 0時
