【アイナナ】Hiver【千】 (ページ6)

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03-1 千side(02-2の内容) ページ6

「じゃあオレはもう一人の子の方に行ってくるね」
モモが自身の担当の相談者のもとへ向かうため、その場からいなくなる。まずカメラの入らない交流に移った。

「じゃあまず、崎田さん」
「ひゃ、ひゃい…!?」
「くくっ…どうしたの…」

彼女は緊張しきりといった様子で、返事でさえ噛み噛みだった。
僕はつい笑ってしまう。

「自己紹介をしよう。はじめまして、僕は…知ってると思うけど、Re:valeの千です」
「お、お初お目にかかります…私は、崎田 Aと申します…！」

深々と頭を下げる彼女は、丁寧な子なんだなといった印象だった。

「あ、あの…、お忙しい中私のようなもののためにお時間を割いてくださり、まことにありがとうございます…！いつも生きる気力をいただいております…！不束な者ですがどうぞよしなに…」
「え？まあ仕事だからね。宜しくね」
「はい…！貴方様のような神々しい方とお話させていただけて天にも昇るような気持ちです。宜しくお願い申し上げます」
「待って、待って」

一言しゃべる度に頭を下げて土下座をする彼女に、僕はストップをかける。

「なんでございましょう？」
「ふ、普通に喋ってくれない？大変でしょ？」
「普通でございます」
「普通じゃない。壮五くんでもそんな話し方はしないよ」
「壮五くん…!?IDOLiSH7の…！」

彼女は目を輝かせて、「さすが、よくIDOLiSH7と共演されているだけありますね！」
「そ、そうね」

この子はよくわからない子だなと思いながら、昔の自分ならすでに部屋を出ていたなと悟った。

「…話し方でございますが、実は癖でありまして。しかし千さんがそう仰るなら、善処致します。私のような愚者を気にかけてくれてありがとうございます。えへへ、少しだけ砕けさせてくださいね」

そう控えめに笑い、僕の手を取る彼女に、不覚にも少し胸が鳴った。こんな感覚を女性に抱くのは久しぶりだった。
決して僕の好みのタイプではないはずなのだけれど、どこか彼女には引っ掛かる何かがあるようだった。

「…そっちの方がかわいいよ」
「は、はわ…」

彼女は顔を真っ赤にして照れる。
モモのようで可愛らしい。