シスコンではなく姉想い【禪院 直哉】

覚醒 ページ13

真希side

真依「真希。また...」

ﾊﾟﾝ

真依が言おうとしたことはすぐ分かった。

真希「それやったら、Aさんの今までの頑張り全部無駄にするぞ」

Aさんが望むのは、みんなが幸せだと笑える未来。
平和ボケしてるだとか、幻想だとか思った。
それでも、あの人にはそれができる力がある。

真依「ごめん...」

泣くなよ...
私だって、もう一度チャンスを得たおかげで守りたいものを今度はしっかり見つけた。
その中に...

真希「真依、お前だって入ってんだからよ...」ﾎﾞｿｯ

もちろん、直哉もAさんだって。

真希「暫くじっとしとけ」

真依「真希！」

なんだか、懐かしい。

真依「一つだけ約束して...Aさんを助けて！」

大丈夫。

絶対負けない。絶対助ける。

◆

◆

◆

直哉side

直哉「真希ちゃん、外で待っとってくれへん？」

真希「出たら直哉が死ぬかAさんを殺すかの二択だろ。ぜってー出ねぇ」

もうバレとるか。
人の死を正当化なんてする気はない。

でも、姉さんはこのままじゃ守りたかったものだって自分の手で壊す事になるかもしれん。

直哉「どうやって止めるつもりや。手も足も出ない俺と、俺よりも弱い真希ちゃんでどうやってAを止める？全力でやって殺せたらラッキー。それでもAが正気取り戻すまで持つなんて今の俺らじゃ無理や」

俺は姉さんの幸せを願ってる。

直弥「好き好き言ってる直哉さんは本当に殺しちゃうんですね！」

俺は好きとは言う。
でも、

直哉「一度だってAを幸せにするのは俺だとか、幸せにできるのは俺だとか思った事はないんや。俺やなくても幸せにできる奴がおるなら道譲ったる」

俺はただのシスコンでいい。

直哉「でも、あんたじゃAは幸せになれん」

(ﾀﾍﾞﾓﾉホシイﾅ)

この声は、姉さんの契約しとる...

(ﾀﾍﾞﾓﾉﾁｮｳﾀﾞｲ)

特級呪霊。

直哉「対価いるんならあげるわ。不味いとは思うけど、禪院家の奴らの首や。食べてええで」

真希「おい、直哉。何言ってんだ！攻撃に集中しねぇと死ぬぞ！」

その代わり、真希ちゃんと真依ちゃんに力を。

どっちか片方死なな完全体になれんなんて、

悲しすぎるやろ。

(ﾜｶｯﾀ)

そう頭の中に響いたとき、真希ちゃんの速度が目に見えて分かるほど上がった。

ﾄﾞｺｰﾝ

直弥「は？」

真希「攻撃、受け流そうとしただけなのに、Aさんをふっ飛ばしちまった？」

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