善人 ページ7
Aside
津美紀ちゃんが水を上げている姿を見ていれば恵くんは恐怖より好奇心が勝ってしまったのか木の棒を持って呪霊の方へ行ってしまった。
恵「これやる」
木の棒だけ渡して帰ってくる恵くん。
呪霊は考え込んでいる様子。
津美紀「木の棒が、浮いてる?」
すると、呪霊が見えないのか津美紀ちゃんには木の棒が浮いているように見えたらしい。
津美紀「お母さん、この人が、お母さんのお友達なの?」
そう言う津美紀ちゃんにニッコリと微笑めばキラキラとした目で木の棒を見つめている。
花御「貴方にお礼が言いたかったのです。いつも、草花に声をかけてくれてありがとうございます。水をやり、自然の声を聞き...ここの草花はどこのものよりも美しく喜んでいます」
津美紀ちゃんには声は届いてはいない。
でも、あたかも会話をしているように自分の方を見る津美紀ちゃんに満足したのか呪霊は嬉しそうに見えた。
津美紀「お母さん、お友達は何か言ってるの?」
そうコチラを見る津美紀ちゃん。
でも同じようにこちらを見た呪霊は首を横に振った。
恵はやはりそれに納得がいかないよう。
恵の頭を撫でた。
A「さぁ、どうだろうね」
津美紀ちゃんはコチラの世界に足を踏み入れてはいけない。
きっと、呪霊はそれを理解した上でこれ以上の干渉を避けた。
A「二人とも、今日はお昼からお出かけしない?」
津美紀「する!」
恵「する」
元気よく返事する二人に「じゃあ、早く着替えてきてくださいな」と言えばパタパタと駆けて行った。
花御「しばらく、彼女を見ていてもよろしいですか?」
そう言う呪霊に「そういう契約では?」と言えば「そうでしたね」と返ってきた。
準備の終わった津美紀ちゃん達とショッピングモールに向かいました。
花御「森を切り開いて作ったものが...なんと嘆かわしいことでしょう...」
恵「お母さん、アレ付いてきた」
A「恵くん、指差しちゃいけません。他人のふりですよ?」
津美紀「恵、おかーさん?どうしたの?」
恵・A「「さぁ?」」
何故か呪霊が付いてきてしまいましたが...良しとしましょう、もう知りません...
花御「彼女は、本当に善人ですね」
津美紀「お母さん、この子欲しい!」
在庫処分でただ同然で売られている萎れた花を見て笑顔でそう言う津美紀。
そうですね。
この子はきっと、この世界で生きる人間の中でも極めて善人なんだと思う。
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虹心(プロフ) - 初コメ失礼します!この作品とっても面白いので大好きです!更新頑張って下さい! (12月7日 14時) (レス) id: 9e6108b140 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊織 凛 | 作成日時:2023年12月6日 9時