思い出 ページ20
Aside
真人「ねぇ、母さん?」
歓迎会の中、呼び出しがかかり任務に向かった。
今更歓迎会に帰ってももうお終いだろうと思いいつものパン屋さんに寄ったあと帰路についた。
A「どうかしたんですか?」
珍しく抱っこと言わない真人は私の前を歩いていた。
真人「知らなかったのに、なんで俺の手を避けなかったの?俺が怖くないの?」
軽い口調で笑顔で聞く真人。
そうですね...
A「真人がどれだけ世間から見れば危ない呪霊でも...我が子の手を振り払うような母親はいないからですよ」
厳密には、そういう親もいる。
でも、私にはそれができないというだけ。
それをされる事がどれだけ苦しいことかを見を持って知ってるから。
ポカンとして止まってしまった真人を抱き上げた。
A「真人。真人はきっと生まれたばかりでも、精神的にも肉体的にもずっと成長が早いと思います」
真人「うん、そうだね」
真人は、私が何を言おうとしているのか分からないのか、気になって頬をつんつんと突き始めた。
A「それなのに、私よりも、恵くんよりも、津美紀ちゃんよりもずっと長生きします。だから、、沢山思い出作ろうね」
私達がいなくなって、真人を知る人が誰もいなくなっても、懐かしむ事ができる昔があればいいな。
そう思った。
いつかの君が、私達を思い出せるように...
真人「ねぇ、」
そう言えば真人は不思議な顔をした。
真人「母さんのところに来てから俺、変なんだよ。呪霊は何にも縛られず、自由に生きるべきだと思ってた。人間なんてうじゃうじゃいて気持ち悪くて、母さんのところに来るまでの間適当に殺して遊んだりもした。なのに...」
首にギュッと抱きつく姿は本当に子供のようで、背中をトントンと叩いてあげた。
真人「怒り、嬉しさ、悲しさ、悔しさ、嫉妬。知らない感情を知るたびに人間っぽくなっていく気がする。呪霊なのに、呪霊らしくない気がして...」
不思議。
そういう真人に思わず笑ってしまった。
A「らしさを追求すればそれこそ自由じゃなくなる。なにより、自由を意識し過ぎてしまえば自由に縛られてるのと同じだと思うな」
「真人は真人でいいんじゃない?」といえば「それもそっか」と納得したようだった。
花御「A、真人おかえりなさい」
家に着けば花御が迎えてくれた。
真人「花御ただいまー」
ガシッ
花御「よくも陀艮を風呂に縛り付けて沈めましたね?」ゴォォォ
真人「あ、忘れてた」
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虹心(プロフ) - 初コメ失礼します!この作品とっても面白いので大好きです!更新頑張って下さい! (12月7日 14時) (レス) id: 9e6108b140 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊織 凛 | 作成日時:2023年12月6日 9時