プロローグ ページ1
Aside
「津美紀ちゃん家すっごーい!」
「ホントだ!きれー!!」
「中で遊びたい!ね?いいでしょー?おねがーい!」
子供たちの話に耳を傾けながら紅茶を飲んでいた。
窓からすこし外を覗けば困った顔の女の子とそれを取り囲む三人の女の子。
ポットが沸騰を知らせる音を鳴らせば火を止め外へ出た。
「津美紀ちゃんのお母さん!?」
「きれー!お人形さんみたい!!」
興奮気味な女の子たちにのんびりとした口調で言った。
A「ごめんなさい、今うち散らかってて。また今度でもいいかしら?」
そう言えば渋々「そっかー」と肩を落として「また明日ね!」と帰っていく女の子たち。
津美紀「す、すみませんでした!!」
バッ!と頭を下げる女の子に頭を撫でてあげれば「紅茶で良ければ飲んでいきませんか?」と言えば嬉しそうに笑った。
津美紀「わー!中も綺麗ですね!!」
手際よく紅茶とミルクと砂糖を用意してシフォンケーキを取り分けて出せば幸せそうにパクパクと食べていた。
A「お腹、減ってるの?」
そう聞けば気まずそうな顔をした。
見たところだいぶ細いし、少し気になってしまいました。
A「いつでもおいで。ご飯もごちそうしますから」
そういえば女の子は突然泣き始めた。
ど、どうしよう...
ワンワン泣く女の子を抱きしめてあげれば泣きながら教えてくれた。
親はたまに見たり見なかったりしたが今はもう家に帰っておらず、家に帰れば1個下の弟もお腹を空かせているという。
そんな中で、初めて大人の優しさに触れて不思議な気持ちになったそう。
A「うちに...来る?」
そう言いながら大きく「うん」と頷いた。
泣き止めば弟を連れてくると走っていってしまった。
私は恵まれた人間だった。
故に女の子がどれだけ辛い思いをしているか分からない。
でも...どことなく昔見た"あの人"を思い出してしまった。
放ってはおけなかったと言うのは簡単だけど、関わると決めたのなら全力で女の子が笑える日々を作りたいと思いました。
女の子が帰ってきたとき、少しの荷物と背中に隠れている小さな男の子。
A「二人とも、お名前を聞いてもいいですか?」
津美紀「伏黒津美紀です!」
恵「伏黒恵...」
こうして二人との生活が始まった。
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虹心(プロフ) - 初コメ失礼します!この作品とっても面白いので大好きです!更新頑張って下さい! (12月7日 14時) (レス) id: 9e6108b140 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊織 凛 | 作成日時:2023年12月6日 9時