封印 ページ28
Aside
全力で走って五条家についた頃には辺りは薄暗かった。
そこには五条家の人間だけではない、知らない人達もいて、きっと他の家の人達なんだろう。
私が付けばすぐに封印の準備が始まり私は身動きのとれないよう拘束された。
周りから聞こえるのは、化物だ、呪霊だ、五条悟を操っていたのだ、と散々な言葉ばかり。
そうだった、私は...元々はこういう生き物だったんだ。
主の為に、お家の為にって言っていたけどきっと...私を見てくれる人が、私の居場所が欲しかっただけだった。
「おい、見ろよ呪霊が泣いてるぞ」
「あの"犬神"が?」
「おい、気をつけろあの五条悟でさえ操っていた化物だぞ」
主なら涙を拭ってくれる。
主なら沢山撫でてくれる。
主なら抱きしめてくれる。
違う。
もうとっくに知ってた。
主だからしてくれる訳じゃない。
主が五条悟という人の子であったから大切にしてくれた。
だって、両面宿儺とは全く違った。
比べなくたって明確だった。
最初は呪力の供給源として見てた。
でも今は...主の側が心地良いから。あわよくば主の人生の一端に私がいたらってずっと思ってた。
主が、大好きだから...
準備が整ったとそれぞれの術師が位置につき始めた。
だが、一人だけ私の側に歩いてくる人がいた。
ーー今まで、悟の側にいてくれてありがとう。悟の相棒でいてくれてありがとう。悟を変えてくれて...ありがとう。
術師の誰かによって視力、聴力など五感を奪われた私にはもうその人物を見る事ができなかった。
でも、なぜだか温かい気持ちになった。
その人が去っていけば体からは力が抜けた。
すごく眠い...
両面宿儺。
貴方も封印される時、こんな気持ちだったのかな?
こんな感覚だったのかな...
きっと、私が次に目覚める時があればそれはもう...
硝子も、傑も、夜蛾先生も、五条家の人達も、そして...
主もいない世界。
きっと私は...独りぼっち...
主、嫌だな...封印されたくないよ。
主とまだご飯行ってない。
チョーカーも買ってもらってない。
ジャーキーもまだ...
一言だって主に大好きって伝えたこと無いのに...
"悟"...大好き...
◆
◆
◆
悟side
ーー"悟"...大好き...
泣きそうな声で聞こえてきた相棒の声に飛び起きた。
夢かよ...チッ
重すぎる愛故に幻聴まで聞こえてきた自分に嫌気がさした。
時計を見れば針は4時丁度をさしていた。
なんか、胸騒ぎがしてイライラがとまらなかった。
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巴 - ごめんなさい、送信時に変な所触って?が付いてしまいました。 (2023年4月16日 21時) (レス) @page37 id: b4602eea55 (このIDを非表示/違反報告)
巴 - 夢主ちゃんの犬っぽい気持ちや仕草は伊織さま?のお兄さん犬の愛の現れですね。私も愛犬がいましたが遠方に嫁ぎ看取れなかったのでお気持ちお察しします。でもね、重い愛でいいじゃない。人生全身全霊ブッ込んで愛する事って幸せよ? (2023年4月16日 21時) (レス) @page37 id: b4602eea55 (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - 長々と長文失礼しました (2023年4月6日 7時) (レス) id: d7d4626c6d (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - 初めまして伊織凛様、僕はここ最近バッドエンドばかりを見ていたためこういうほっこり系は非常に和んで見ていて癒されます〜この作品は是非ともこのまま平和でいって欲しいものです(あくまで僕個人の意見です)これからも物語を見させていただきます。応援してます! (2023年4月6日 7時) (レス) @page26 id: d7d4626c6d (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - か、かわいいぃぃ(*´`)♡ 癒しです…人間の姿で主にイチャイチャして欲しい(( デレデレになる五条さん(なるかな?)楽しみにしてます笑笑 更新頑張って下さい! (2023年3月28日 0時) (レス) @page19 id: 782ae98ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊織 凛 | 作成日時:2023年3月12日 23時