悪役令嬢は大正時代のド田舎に転生しました【鬼滅の刃】

内に湧く恐怖 ページ31

これは、少し前。
カナエ救済の時のお話...

執事side

執事「上弦の弐...桁外れですね」

しのぶ「わ、わんこさん！駄目です！行ってはだめ！！」

血気術でしょうか。
肺に、息をするたびにミシミシと音を立てそうなほどの激痛が走る。
上弦の弐。童磨と名乗る鬼は、私が考えているほど簡単に倒せるような鬼では無かった...

執事「下がっていてください！夜明けまで持ち堪えます！カナエ様も早く！」

もうボロボロで意識も朦朧としていて。
刀だって、握っている手は震えていた。
内に湧く恐怖。
思えば最終選別の時も、私は初めての鬼を見て足がすくんだ。
錆兎や義勇、お嬢様はあんなに平然と切っているのに、俺だけ出遅れた。
それは、柱になってから任務をこなすようになっても、鬼への恐怖は消えなかった。
鬼殺隊は、私のいていい場所ではないかもしれません...

童磨「あれ？ブルブル震えちゃって。かっこいいことを言ったのに残念だね」

でも...

"お兄様！"

"お兄様？"

"日向お兄様！"

私を兄と呼ぶ..."A"がせめて、幸せになれるその時までは"俺"は...

執事「ただの武者震いだ。鬼が怖くて震えるなんて、ふざけるな。"俺"を誰だと思っている」

童磨「驚いた。吹っ切れたってやつかな？」

この命をもって邪魔者を排除する。
幸せだと微笑むAの姿を俺はみたい...

しのぶ「夜明け、夜明けです！！」

執事「鬼殺隊、雨柱。柊(ひいらぎ)日向(ひなた)だ。この傷を作った代償、次会うときはお前の死をもって償わせてやる」

カナエ様も、しのぶ様も、そして俺も。
ボロボロで血だらけ。
傷だらけで。
カナエ様を助けられてもこれじゃ、Aに顔向けができない...

俺がそう叫んだあと童磨は姿を消した。
アレは、俺との戦いはきっと本気じゃなかった。
手を抜いていた。
なのに、俺はこんなにボロボロで。
次は、誰か失うんじゃないだろうか？
俺が、未熟故、Aまで...

しのぶ「"日向"さん。かっこよかったですよ。そして、私を、姉を助けてくれて。ありがとうございます。だから、そんなに悔しそうに泣かないでくださいな」

そうしのぶ様は優しく声をかけてくれた。
体中痛いはずなのに、無理に笑って...

本当に俺は...情けない...

執事「他の方の前では、わんこでお願いします。名前を呼ばれるのは慣れませんので」

まだ、名前を名乗るには未熟過ぎる。
次こそは、必ず。
誰も傷つけさせない。
いつか、幸せをつかむまで"私"は...

類は友を呼ぶ→←変わってしまった

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