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中3、卒業式の1週間前、俺はクラスの女子の友達に話しかけられた。
「なぁAちゃんがさ大阪戻る前になんかしゆう思っちゅうなが志麻どう?」
「え?」
Aが大阪に戻る?
そんな話し聞いてないし。
「まぁええんちゃう?」
とりあえずその場しのぎで答える。
その日の授業はいつもより長く感じられた。
すぐに聞きに行けばいい。それも思ったが、2人でちゃんと話したかったからお昼休みまで待った。
急いで階段を駆け上がるとAは既にお弁当を広げていた。
「どうしたん?そんな急いで。」
何事も無いように…いやAにとっては何事も無いのだろうが、いつも通りのゆるさが笑顔が今日は無性に腹が立った。
「なぁ大阪戻るってほんまなが?」
「あちゃ〜聞いちゃったか。ホンマやで。ごめんな志麻に言えんくて。卒業式終わってからやねんけど…」
違う、俺が聞きたいのはそんなことじゃない。
別に謝って欲しいわけじゃなくて、そうじゃなくて…でも俺はAになんて返して欲しかったのか分からなかった。
Aが言えなかったことにもきっと理由があるはずでそんなこと考えたらすぐ分かるはずなのに。
その時のAの表情が明らかに泣きそうになっていたことも気づけたはずなのに。
自分の言いたいことが上手くまとめれず、思わず呟いた。
「もう、ええわ。」
ドアを思いっきり閉めて俺は階段を駆け下りた。
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作者名:莉緒 | 作成日時:2021年11月15日 22時