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ちょうど2年生になったあたり。昼休みに俺は屋上に続く階段を上っていた。
もちろん屋上は開いていない。それは分かっていたのだが、中学にも慣れた頃のほんの出来心だったのだと思う。
立ち入り禁止の柵を跨いで最後の階段を上るとドアが見えてくる。
ドアノブを回して開いていないことを確認してから教室に戻るつもりだった。
しかし俺の予想に反してドアは音を立てながら開いた。
開かないことが前提だった体重ののせ方をしていた俺はそのまま躓きながら屋上に出た。
雲ひとつ無い青空、とはこのことを言うのだろうというぐらいの天気で目の前に広がるのは俺の住んでいる町。
何の変哲もないが、他の人が見たことの無いこの景色がただただ特別なものに思えた。
突然、横でガサッと音がした。
一気に顔が青ざめていくのが分かった。
しかし俺の焦りとは裏腹にほんわかした雰囲気の声が聞こえる。
「なんやぁ志麻かぁ。」
ちょうど影になっているところから顔を覗かせたのはAだった。
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作者名:莉緒 | 作成日時:2021年11月15日 22時