「天邪鬼な答え合わせ」：３ ページ30
見たことも無いくらいお洒落な部屋に固まっていた私は、案内されるがままにハヤトさんの部屋に連れられ、「座って待ってて」と言われたので近くのクッションに座って待っていた。
待っている間に部屋を見渡す。ガラスのショーケースにはいくつものフィギュアが飾られており、いかにも男の子の部屋、という感じだった。
やがてお菓子とアイスティーが入ったコップを二つ載せたお盆を持ってハヤトさんが戻って来た。私が棚に置いてあるフィギュアのことを尋ねると、嬉しそうに目を輝かせてあれやこれやと喋り出し、すぐにはっと我に返って「…じゃあ勉強しましょうか」と赤くなった顔を俯かせた。
勉強会は順調に進み、それは何よりハヤトさんが教えるのが上手だったからだ。
分からないところがあればすぐに身を乗り出して教えてくれるし、難しい事も分かりやすく例えてくれる。私がその度に歓喜の声を上げて感謝を伝えると、照れくさそうに彼は笑った。
「…よし、一応テスト範囲の予習は終了しましたが…一度休憩しましょうか」
シャーペンを机に置き、ぐっと大きく伸びをするハヤトさんを見ながら、私も肩の力を抜いてふぅっと息を吐いた。
ふとハヤトさんの左耳にかかっていた髪が揺れて、普段見えない部分まで視界に映った。
「あの、ハヤトさん。その耳…」
そっと指を指してそこを示すと、ハヤトさんは慌てて耳を手で隠した。
彼の耳たぶには、確かにピアスで穴を開けた跡があったからだ。
「…見えちゃいました？」
耳まで顔を真っ赤にして、しまったというように困った顔をした。私が素直に頷くと、はぁあ…と大きく溜息をついて、「…秘密にしてくださいね？」と耳を見せてくれた。
「中学生の頃に、憧れていたバンドの真似をしてこっそり空けたんです。夢追さんや緑仙さんは似合ってると言ってくださったのですが、どうしても自分で納得できなくて…」
むずがゆそうに頬を掻きながら、そう答えてくれた。自分の中で常に完璧を求める彼なら十分納得できる理由で、外したことも何となく納得できるような気がした。
その話を聞いて、私の中にはどうしてもあるお願いが浮かんでしまったのだ。
「あの…私のわがままなんですが、よければピアスを付けているところを見せてくれませんか？」
少しだけでいい。ただいつもと少し違う彼が見たくって、私はわがままを言ってしまった。
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HUMIZUKI･文月 - 加賀美インダストリアルって確かオモチャの会社じゃなかったでしたっけ？まだまだ、浅いので間違ってたらごめんなさい。とても楽しく拝見しています！ (2021年8月8日 22時) (
レス) id: 600526697d (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 甘鶴摩未来さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて幸いです。第二幕もどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月30日 14時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
甘鶴摩未来(プロフ) - にじさんじの夢小説を探してて、読み始めたのですが本当に素敵な作品だと思いました！第２幕も楽しみです！！ (2020年5月30日 13時) (レス) id: c441c2b911 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 究極のかにかまさん» 究極のかにかまさん、コメント、さらにはTwitterのフォローまでありがとうございます！とても嬉しいです。頑張って書きますのでどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月16日 15時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
究極のかにかま(プロフ) - 初コメント失礼します。興味本位で入ってみた小説なのですが、とても面白いです。Twitterの方もフォローさせて頂きました。これからも応援しています。 (2020年5月16日 14時) (レス) id: 65c58cf727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊織 | 作成日時：2020年5月11日 13時
