第十話 「天邪鬼な答え合わせ」：１ ページ28
第一学期末テスト。
にじさんじ高等学校にて、六月の終わりから七月の始めの三日間に渡り行われる、生徒の学力を調査し成績を付ける試験。
学校全体は既にテスト一か月前ということで、憂鬱でピリピリとした緊張感のある空気に包まれていた。
私は、というと。成績は中の上くらいを常にキープし、良くも悪くもない成績表をいつも受け取っていた。特にそれ以上を目指そうとも思わないし、親から何か言われたこともなかった。
「あの…Aさん」
お昼休み。昼食を摂って読書に浸っていた私に、横からハヤトさんが話しかけてきた。
「今週の土曜日って、何か予定ありますか？」
「え？いや別にないですけど」
「じゃあ、よければでいいのですが…私の家で二人で勉強会をしませんか？テストも近い事ですし、何か助力できればと」
もじもじと視線を惑わせながらハヤトさんはそう言って、私はそれに考えるまでもなく頷いて
「私で良ければ…是非！」
と笑って答えた。ハヤトさんは顔を上げて、いつもみたいに嬉しそうに微笑んだ。
*
そして、土曜日。
私は私服のワンピースを着て、約束通り駅前広場で待っていた。
そういえば、とふと思い出す。忘れそうだったけど、ハヤトさんは加賀美インダストリアルの社長の息子で、つまり相当な豪邸住まいなのでは…？
一応いつもより身だしなみにも気を付けたけど、それでも場違いじゃないかと不安になった。
その時、鞄の中でスマホが震えたので画面を確認すると、LINEにハヤトさんからメッセージが届いていた。
加賀美ハヤト遅れてしまい申し訳ありません!車で迎えに行きますので、あともう少しで着きます!
律儀だなぁ、と思いながらメッセージをじっと見ていると、遠くの方から車のエンジン音がした。
顔を上げると、広場の向こうの道路から黒い車がこちらに向かっている。塵一つない美しい車体に周囲の景色を反射させ、思わず肩がこわばる。
やがて私の目の前でゆっくりと停止すると、傷一つない重厚なドアを開けて中から白いシャツを着こなしたハヤトさんが現れた。
突如として目の前に非日常的な光景が広がったので、私は目を見開いたまま固まってしまっていた。
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HUMIZUKI･文月 - 加賀美インダストリアルって確かオモチャの会社じゃなかったでしたっけ？まだまだ、浅いので間違ってたらごめんなさい。とても楽しく拝見しています！ (2021年8月8日 22時) (
レス) id: 600526697d (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 甘鶴摩未来さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて幸いです。第二幕もどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月30日 14時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
甘鶴摩未来(プロフ) - にじさんじの夢小説を探してて、読み始めたのですが本当に素敵な作品だと思いました！第２幕も楽しみです！！ (2020年5月30日 13時) (レス) id: c441c2b911 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 究極のかにかまさん» 究極のかにかまさん、コメント、さらにはTwitterのフォローまでありがとうございます！とても嬉しいです。頑張って書きますのでどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月16日 15時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
究極のかにかま(プロフ) - 初コメント失礼します。興味本位で入ってみた小説なのですが、とても面白いです。Twitterの方もフォローさせて頂きました。これからも応援しています。 (2020年5月16日 14時) (レス) id: 65c58cf727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊織 | 作成日時：2020年5月11日 13時
