10話 ページ10
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滅多に、というか話すようになってから初めて見た彼のそんな表情に私が断れる訳もなく、公園へと足を進める。
ついた公園は、周辺に住む子供ならば必ず行ったことのある公園で、もしかしたら昔会ってるかもね、なんて考える。
そんな思考は黙ったままの捏島くんが話し出すのを待つのに丁度良くて、彼から伝わる緊張を和らげていた。
「......ぅー...もうちょっと待って欲しい...」
『？うん。いいよ。全然待つ』
頭を抱えて唸る捏島くんの隣に座り、ピチチチ、と聞こえる鳥の囀りをBGMに待つ。
沈黙だけれども無音ではない状況に、少し落ち着かない心持ちが凪いでいく。
暫くすると捏島くんは、何か決心したような表情で、私の方をゆっくりと向いた。
「Aの事が好きです、付き合って下さい」
『へ、』
ふわ、と太腿の上に乗せていた両手を包まれ、視線が彼と交わる。
驚きすぎて声の出ない私をよそに、吹っ切れたらしい捏島くんは頬を染めながらも若干早口で話し出した。
「えとな？会話する前から気になってはいたんやけど、話してめっちゃ好きになって、どうしたら好きになってもらえるかーとか、どうやったら付き合えるかーとかめっちゃ考えてん」
表情をコロコロと変え、話していく捏島くんに私の脳みそは頑張って情報を処理していく。
「そしたらAの弟がさ、姉ちゃんモテるんで早くした方がいいですよ、って言ってて」
ん？いつの話だ、それ、なんて新しい情報に困惑する。
でも捏島くんが話している間に、己の気持ちは整理できた。
いや、整理なんてとっくのとうに出来てた。
少しの勇気が出なかったのだ。
一度認めると厄介な感情を、相手にぶつける勇気。
「Aは、そのー、俺のことどう思ってるん...？」
『私も同じ気持ちで...その...好き、です』
私の手を包んでいる捏島くんの手を一旦離し、上から包み返し、きゅ、と握る。
「両想い、なんか...？じゃあ付き合えるん？」
ゆらり、と不安と期待の入り混じる瞳を見つめ返し、コクリと頷く。
「ほんま！？ふへ、めっちゃ嬉しい」
そう言って笑った彼の表情は、今までに見たどんな笑顔よりも素敵なものだった。
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イオ(プロフ) - ウルフ・レトさん» ウルフ・レトさんコメントありがとうございます！そういっていただけて嬉しいです！最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2021年11月29日 17時) (
レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフ・レト(プロフ) - 完結おめでとうございます！ふと、目に入って読んでいたら気づけば、あとがきまでいってました。文書の書き方といい、全てに惚れました。そしてkn さんがカッコよすぎです…！ (2021年11月29日 16時) (レス) id: 284db47999 (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - チャコさん» チャコさんコメントありがとうございます！続き待っていてくださいね！ (2021年11月26日 6時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
チャコ - この物語のknさん好きです！続きが楽しみ！ (2021年11月26日 6時) (レス) @page7 id: db343170a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イオ | 作成日時：2021年11月23日 12時
