6話 ページ6
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「...姉ちゃん、あの人彼氏?」
家に帰るなり、玄関に立ちはだかるように立っていた涼太が少し不機嫌そうな顔でそう私に問う。
『は?』
一体何のことを言っているのか分からず、反射でそう聞き返す。
「だから、あのバス停で毎日会う人。今日一緒に帰ってたじゃん」
しかも隣に座ってたし、とまるで見てたかのように語る涼太。
『...見てたの』
「うん。んで、彼氏なの?」
するとどうやら同じバスに乗っていたらしく、話を逸らそうにも、すぐに引き戻される。
『違うけど。なに?』
「んや?姉ちゃんの彼氏は俺が決めるから」
ふい、と体ごと顔を背けた涼太が素っ気なくそう言い、私はその言葉にカチンとくる。
『はーぁ?なんで涼太に彼氏の管理されなきゃいけないわけー?』
「だって姉ちゃん変な男拾ってきそうだし」
『んぐ...だ、大丈夫だし』
涼太に速攻で言い返され、決定的な事は何も言えずにいれば。
「なにが?あの人がってこと?」
涼太が急にこちらを向き、その真剣な目と視線が合う。
『そうだけど...?』
「ふーん。そう言うって事は、好きなんだ、あの人のこと」
そんな涼太は、私の言葉に、面白いものを見たようにすぅ、と目を細め、笑う。
『はぁ!?そんなこと...ない、し...』
「ま、ゆっくり考えたら?恋愛漫画たくさん持ってるし、わかるでしょ」
『むー...わかったー...』
はーおもしろ、とクツクツと笑いながら涼太はリビングへ向かったが、私は暫く玄関で燻ったままだった。
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イオ(プロフ) - ウルフ・レトさん» ウルフ・レトさんコメントありがとうございます!そういっていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございました! (2021年11月29日 17時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
ウルフ・レト(プロフ) - 完結おめでとうございます!ふと、目に入って読んでいたら気づけば、あとがきまでいってました。文書の書き方といい、全てに惚れました。そしてkn さんがカッコよすぎです…! (2021年11月29日 16時) (レス) id: 284db47999 (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - チャコさん» チャコさんコメントありがとうございます!続き待っていてくださいね! (2021年11月26日 6時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
チャコ - この物語のknさん好きです!続きが楽しみ! (2021年11月26日 6時) (レス) @page7 id: db343170a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イオ | 作成日時:2021年11月23日 12時