ある日突然、物語が消えた【呪術廻戦】

30話 ページ31

A side


監視役の五条先生が停められた車に寄りかかりこちらを見てくる。



視線を背中にビシバシと感じつつ、私は、鬱陶しいなぁ、なんて思いながらも補助監督さんの話を聞く。



今回は、どうやら3級程度の呪霊が複数体いるらしい。



何処かふんわりと感じる、がしかし確実に存在を認識できる呪力が、複数確認できる廃ビルを見上げる。



補助監督さんの話によると、元々は所謂ブラック企業の会社が入っていたらしく、そこの社員達が纏まって亡くなったことにより、死亡原因も相まって、曰く付き物件となった。



そしてそれによって負の感情が集まり、呪霊による被害が見えてきた頃、廃ビルとなったらしい。



私はビルを見上げ、事前に確認済みの地図と照らし合わして呪霊の大体の位置を確認し、ビルの中へと入って行った。



















コツコツとローファーがコンクリートを鳴らし、呪力感知によって確認済みの呪霊を見つける。



単語は理解できるが意味のない言葉を発する呪霊に向かって、手際よく用意した相棒を構える。



今回は祓う事が目的。



私の術式は感情が直結する。



表現力が問われる。



音の引き出しが、私の攻撃手段だ。



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