17話 ページ18
A side
その塊が辿り着いた先は地下だった。
あまりにも巧妙に隠された呪力は五条先生のもので、その部屋の中はまだ入ったことがないため、呪力感知ができなかった。
だがその部屋が、呪力により、五条先生によって管理されているのはすぐにわかった。
私はそう考えている間にもその部屋へと入って行こうとする塊に向けて足を動かし、その主の肩を掴んだ。
『待っ、て...!』
体力作りに走っておけばよかった、と後悔しつつ荒い呼吸を簡単に整え顔を上げた時。
「ほぅ。貴様が妙な呪力の主か」
多少の心構えがあったとしても、原作キャラと呪力の大きさにパニックに陥るのは簡単なことだった。
『す、宿儺、サン』
反射に近い形で溢れた目の前の主の名に慌てて敬称をつければ、己の失態に精神的余裕が生まれる。
「ケヒッ、良い良い。宿儺様と呼んでも良いぞ?」
しかしそれも一瞬で、クイっと顎を掴まれ、強制的に視界が固定される。
あの、このふわっと香る甘い匂いもそうなんですが、顎クイ含め、恋愛要素は些か場に合わないといいますか。
『す、宿儺様。あの、私の未熟さ故、呪力が大きすぎて苦しいので、っ、抑えて頂けないでしょうか』
よく言った私、なんて脳内でスタンディングオベーションを行い、距離をとって呪力を抑えてくれた宿儺様には感謝の念が絶えない。
「ふむ。確かにこの程度で苦しいとは未熟だな。いや、呪力体故か...?」
『呪力体、ですか?』
顎に手を当て、ブツブツと呟くようにして考え事をする宿儺様に、気になった単語があり聞き返す。
「そうだ。その名の通り呪力だけで実体を作っている。なにせ封印中の身なんでな」
傷を負っても呪力を消費するだけだ、と笑う宿儺様に流石の呪力量ですね、なんて納得し、笑う。
「そうだな...恐らく小娘にも出来ると思うぞ?」
『私が、ですか?』
「そうだ。色々と試してみるといい」
ふ、と私に微笑むと、宿儺様は扉をあけて、部屋の中へと消えていった。
ちらりと見えたその部屋は、原作で最初に見た、あの呪符が沢山貼られた部屋だった。
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イオ(プロフ) - トキさん» 私が元ネタ作品の大ファンなので、知ってる人と出会えて嬉しいです...!ちなみに呪力菓子は魔石と似たような感じですねwちょこちょこ入れていこうと思ってるので見つけてはニヤニヤしててくださいねw (2022年1月10日 0時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - イオさん» ちょうどハマってたので、、、圧縮も保護者同じことしてて草って思ってました (2022年1月10日 0時) (レス) id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - トキさん» トキさんコメントありがとうございます!もしや呪力を吸収する云々のシーンですね?元ネタよく分かりましたねw (2022年1月5日 22時) (レス) @page38 id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - 読んでたんだけどまって、まって、冬の訪れを早めんのはヤバいってぇ (2022年1月2日 22時) (レス) @page38 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - プスメラウィッチさん» プスメラウィッチさんコメントありがとうございます!オチですが、まだ私の中でも決まっていなかったので、五条先生オチにしますね!ありがとうございます! (2021年11月26日 6時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イオ | 作成日時:2021年10月23日 17時