1話 ページ2
A side
目覚めるとそこは暖かく、優しい場所だった。
私は一瞬天国か？と思ったが、嗅覚が働き、消毒液特有のツンとした匂いに、己のいる場所が医務室であることを認識した。
sn「あ、起きた？」
シャッとカーテンが音を立てて開かれると、そう声が聞こえ、さらに姿が見える。
私は誰がきたのかがわかり慌てて寝ていたベッドから体を起こそうとする。
『...しん、ぺい様...』
しかし思ったよりも体が痛み、声が掠れ、途切れ途切れにしか声を発することができなかった。
sn「あぁ、無理におきんくてええよ。身体中痛いんやろ？」
そんな私を見てか、しんぺい様は私にそっと手を添えるとベッドの上に再び寝かせてくれた。
軍医であるしんぺい様は、他の幹部の方々から“しんぺい神”と呼ばれ、あだ名に相応しい寛大な心の持ち主だと私は思っている。
しんぺい様はその心で多くの方を救ってこられた。
かくいう私もその救われた者のうちの1人だ。
sn「まったく...また無理したんやろ？」
しんぺい様はそう言うと顔につけていた雑面をスッと横にずらし悲しそうな目をしながら微笑んだ。
私はあまりの美しさに言葉を失い、謝る事すらを忘れ、魅入っていた。
sn「...ちょっと失礼するけど良いかな、Aちゃん？」
彼はそう言って表情はいつものニコニコとした笑顔へと戻った。
『ぁ...はぃ...』
私はその表情の変化に驚きながらも、うまく出ない声をできる限り出して返事をした。
sn「ありがとう。触るよ〜」
彼は私の返事に頷くと私の頭を優しく一撫でし、診察を始めた。
私は彼の手の動きを目で追って行った。
すると私の体はいたるところに火傷跡や、切り傷、痣があった。
そして足が片方、膝から下が
...なかった。
それを認識した途端私の喉からヒュッと音がなる。
sn「...Aちゃん？」
そんな私を見たしんぺい様は心配そうにこちらを伺ってくる。
私はそんな事よりも、己の足が片方、膝から下がなくなり、そしてなくなったことにこの目で見るまで全く違和感を感じなかったことに、言い表せないような不快感や絶望、恐怖を感じた。
sn「...！？Aちゃん！Aちゃんってば！！」
どんどん浅くなっていく呼吸に、私は呼吸の仕方を忘れてしまったかのように感じた。
だんだん暗くなっていく視界にしんぺい様の泣きそうな表情を残し、ついに暗闇に飲まれた。
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イオ(プロフ) - はーなーさん» はーなーさんコメントありがとうございます！すみません。こちらの不手際ですね...すぐにフォロリク通しますね！ (2021年5月26日 18時) (
レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
はーなー - 2コメ！初コメ失礼します。あのぉ…Twitterの鍵垢の方、フォローさせて頂きたいのですが… (2021年5月26日 17時) (レス) id: cc35c4fdc3 (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - 雨音さん» 雨音さんコメントありがとうございます！更新頑張りますね！ (2021年5月18日 13時) (レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
雨音 - よっしゃ！！1コメ！！新作楽しみにしてました！これからも応援してます！頑張ってください！ (2021年5月15日 19時) (レス) id: 13ab585311 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イオ x他1人 | 作成日時：2021年3月15日 17時
