詐欺師と首謀者 《shp side》 ページ42
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これは少し前のお話。
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「なぁ、ショッピくん。俺チーノやねんけど覚えとる？ほら、ズィーガーの」
変異型ヘスリヒとの戦闘後、死体処理を終えて帰宅準備をしていればハオプトロレの皆さんが見える。空気感がいいのが伝わってきて、入りたいクランがなくて、仕方がなくズィーガーをしていた俺にとってハオプトロレは理想のクランだった。
あわよくば勧誘してくれへんかなぁ、なんて考えていれば、そう話しかけられたのだ。冒頭のはそれである。目の前の男、チーノは俺とタメ口で話しかけてくる。己の記憶をいくら漁っても出てこない彼の顔をじっと見つめるも、変わらず、一向に記憶からは出てこない。
俺は、すまん、覚えてへんわ、と答える。もともと興味のあるもの以外のことを覚えるのが苦手な俺は、人の名前や顔を覚えるのが苦手だ。“女の子”ならまだしも、男だ。尚更覚えられない。其れもニコニコと表情の読めない奴だ。
気味が悪く感じるもんだから、印象が強くて逆に覚えているんじゃないか、とも考えたが、ポーカーフェイスの上手い奴なんざそこら中にいる。まぁ、コイツの場合背がでかいから覚えててもおかしくないんやけどな、と脳内ツッコミを入れれば、チーノが俺の言葉に反応を示した。
「あー...そっか。まぁ、俺はショッピくんに助けられた側やもんな...本人にその自覚がなくてもしゃーないか。ごめんな、変なこと聞いて」
俺の言葉にあー、と気まずそうな顔をしたチーノがそう言い、申し訳なさそうな表情で謝ってくる。俺が助けたん？其れもこっちが覚えてなくてもおかしくないんか...とチーノの言葉から彼の言う“助けられた時”の状況を整理する。
俺はチーノのその言葉にいや、こっちこそすまん、と返す。するとチーノはあ、そういえば、と言い、懐に手を入れる。するとそこから出てきたのは何かの紙だった。なんだ？と思いチーノの顔を見れば、クラン入団書、ウチのクランに入って欲しいねん！と言われる。
両手を合わせてお願いします！という彼は純真無垢、といった感じで。そんなチーノに俺はもちろん、と言い、既に殆どが記入の済んだ、あとは己の名前を書くのみになった書類に、さらっと名前を“書いた”。
......いや。書いてしまったのだ。目の前で懇願するチーノの口元が、歪んでいる事に気が付かずに。
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イオ(プロフ) - Rinさん» Rinさんコメントありがとうございます！返信できていないくてすみません...のんびり更新ですが、これからも読んでいただけると嬉しいです！ (2021年4月29日 18時) (
レス) id: d37811f059 (このIDを非表示/違反報告)
Rin - あああああああ続きが気になるｩｩｳｳｱｳｳ (2021年3月27日 0時) (レス) id: ee43a6ccd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イオ x他1人 | 作成日時：2021年3月9日 20時
