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えっ?なに今の...
何処からともなく聞こえた恐怖の感情に支配されたその声は、正常な精神状態の者を蝕み恐怖は広がる。
たとえ興味がないとはいえ、目の前で命が散りゆく光景など見たことのない人間がほとんどのこの時代に今の光景を見て正常でいられるのは普通ではなかった。
そう。“普通”ではないのだ。
私はその普通とは違った価値観を持っている。たとえ目の前で命が失われようと私は何も感じなかった。あぁ、死んじゃったね。そういう風にしか感じない。
こういう所も周りからの視線を浴びる原因なのだろうが、自分の価値観を変えるなんて、相当なことがない限り不可能に近いだろう。私のように考える人間がいないわけではないため別に不便はしていないのだが。
そんな風に今しがた散った命の残骸を眺めていれば先程壊れた車から後部座席に座っていた老夫婦が降りてきた。
その行動に思わず周りにいた人間が辞めておいた方が、あっちの土地に行ったほうがいいのでは、などと促す。流石に先程の光景を見て放っておけないようだった。
おじいさん「私達は2人で仲良く死んでくるよ。君たちは生きなさい。こうならないとは限らないだろう?」
おばあさん「そうよ。今のを見て私達が生きれるとはもう思ってないわ。今までの行動の報いなのよ」
するとその老夫婦は止めてきた人間に向かってそう言った。彼らの瞳には絶望の色はなく、寧ろ安堵のような感情が見えた。
もちろん私は見ていただけだが。周りの止めようとしていた人間は彼らの言葉に何も言い返せず、橋の方へと向かう老夫婦をただ見送った。
グシャ...グシャ...
またもや先程と同じように溶けるように崩れていった彼らだった何かはあっという間に変色し、腐敗臭を放ち始めた。
それを見てか、橋の前で停車していた人々もゾロゾロと車から降りると、また1人...もう1人...と生々しい音を立てて溶けていった。
そして橋の付近での腐敗臭が己に害を与えるのでは?と危機感を覚えるほどになってきた頃、事態は急変した。
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作者名:イオ x他1人 | 作成日時:2021年1月25日 22時