【d!】終末世界 (ページ20)

今日:2 hit、昨日:27 hit、合計:116,165 hit

. ページ20

.

ふと意識を周囲に向けた時だった。ズン、と重い威圧を感じ、即座に周囲を警戒する。どこから来るのかわからない威圧に、何故かリーダー達は気がついていなかった。

すると1番奥の方まで進んでいたメンバーのいる方から先ほどより強い威圧を感じ、バッと振り向く。

しかし気がついた時には時すでに遅く、グシャ、と何かが潰れた音がした。その音の正体は1番奥まで進んでいたメンバーが潰れた音だった。そして犯人は普通のヘスリヒより約2倍の大きさのヘスリヒだった。

今まで私が見たヘスリヒは、普通のヘスリヒと、知能の高いヘスリヒの2種類だった。しかしこのヘスリヒは只でさえ強い力を持つヘスリヒの約2倍の大きさであるヘスリヒだ。

まぁ、私はでかいな...と思うのみで他には特に何も感じなかったが、周りの者の顔は恐怖に染まり、腰が抜けてしまっている者もいた。

私はそれをちら、と見たあと視線をその大きなヘスリヒへと向ける。するとその時だった。リーダーが突然クリスタルのかけらをそのヘスリヒへと投げたのだ。

クリスタルの研究が進んでいる前線では、クリスタルのかけらがヘスリヒをおびき寄せるものだということを知っている。それなのに、だ。リーダーは私とそのヘスリヒのちょうど間にそのかけらが投げられたのだ。

そして最悪なことに、このヘスリヒには知能が全くと言っていいほど知能が備わっていなかったのだ。よってそのヘスリヒは私がそのかけらを奪うと思ったのか此方を睨んでくる。そこで私は悟った。

あ。これ、嵌められたな。

難癖をつけられた、と言っても過言では無いほどの理由でクランへと引き入れられ、脱退の自由もなく、男達からは貞操を狙われる始末。何か仕返しをしてやろうとも思ったが、そんな気も湧かず、ただ今わかった事実に怒りがふつふつと湧き上がってくる。

しかし、いつの間にかいなくなった兄さん、そしてあの時に言った、また会える、という言葉から兄さんもおそらく脱退するのだろう。そしてここで私も脱退することにより、あのクランは戦力の大幅喪失によりクランの知名度や貢献度も急降下するだろう。いずれ崩壊する。

周りかすっかりいなくなったクランメンバーにはぁ、と溜息が溢れる。そして私はキッ、と怒りの矛先をヘスリヒへと向けた。

この怒りを晴らすためにお前を殺す。