【d!】終末世界 (ページ2)

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始まりページ2

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全ての始まりは突然だった。
それは私たち人間が気がつくのが遅かったのか、はたまた本当に突然起こったことなのか。真偽は不明だが、人間にとっては突然の出来事だった。

私が異変に気が付いたのは、世界を分けるように流れる大きな川に架かる橋の向こう側に土地を見た時だった。その土地の空は何故か分厚い雲に覆われ、不気味な雰囲気を醸し出していた。私が不思議に思い、立ち止まって見ていれば急に車に乗っていた人が悲鳴をあげた。

ここらで1つ説明を入れよう。
この世界では車に乗るのは所謂太った人間のみであるのだ。そして私のような特段太ったわけではない普通の人間は車なんてものには乗らないのだ。

たまに乗っている者も見かけるが、長距離移動のために使用するぐらいなのである。つまり悲鳴をあげたのは太った人間であり、不思議に思い空を眺めているのは普通の人間である。そして何より、お互いの存在に無関心なのだった。

では話を戻して...

悲鳴をあげた者を筆頭に、車に乗っていた人々は停車している者もいれば、そのまま向こうの土地へと突き進む車で分かれた。一方車に乗っていない人間は先程言った通り全くもって関心がないため普通の人間同士が固まってザワザワと噂話のように会話するのみだった。

ところが私はそんな普通の人間からは少し外れた感性を持ち、幼い頃から車に乗っている彼らに興味があった。しかし至って普通の価値観の持ち主であった両親がそんな私の思考を理解できるはずはなく、厄介者扱いされていた。

つまり、己が普通の価値観と違うものを持っていることを知った私は、幼い頃から関心があった、つまり今もなお彼らに関心を持ち続けているのだ。

普段ならば話しかけてたとしても全くもって相手にしてくれないのだが、今は緊急事態であり、私にとって絶好のチャンスだった。そう。興味がある私は近くに停車した人に話しかけたのだった。